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オープンキャンパス2016-本番!

連日報告している,オープンキャンパス,その当日.
tokidoki.hatenablog.jp
tokidoki.hatenablog.jp

数学の学生がやるのは初日の一番最初の時間.
開始15分前はまだ誰も来ず.果たしてお客さんは来るのだろうか?

という心配を他所に,10分前に突然人があふれ出す.廊下に立ち見が出るほど.
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って状態で,いざ開始.あれ,緊張してる?
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今年はネタが二つ.一つ目は平面図形の重心のちょっとした求め方.
点対称な図形なら分かりやすいのだけどね.
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さて,ハートはどう求めますか,ってなると,みな混乱.
紙とはさみを渡して生徒らに試行錯誤してもらう.
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ところがある方法を使えば簡単に重心が求められる.
愛知県の重心だって求められるよ,さて,どうやるのかな?
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ってことで,画鋲と錘付きの紐を配って再びディスカッション.
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さて,種明かし.愛知県に画鋲をぶっ刺して,ぶら~んとさせます.
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で,錘を使ってゴニョゴニョっとを2回やると,じゃ~ん,重心が求まります.
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こうして一つ目の話題おしまい.
次は簡単な代数を利用した「生き残りゲーム」
はい,参加してくれる人!
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って募ったらすぐに手が挙がって,お陰様でスムーズに進む.
皆さん前に集まって,何やら作戦会議.
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そして完成したのがこのシュールな画.
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後ろから順に自分の帽子の色を当ててもらうのだが,
当然ヤマ勘だから外れる人も出る.そして高校生,ナイス表情.
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と,突然始まる,予想外の二人芝居.
右の少年の無茶ぶりにも(き,聞いてないよ)とはならず,咄嗟に対応する左の少年.
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このゲーム,一番後ろ以外は確実に色を当てられる方法がある.
その様子をまずは種明かしせずスタッフが実演してみせる.
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種明かし後,再び高校生にやってもらったところ,見事成功.
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「みんな,分かってくれたかな?分かってくれた人!」「ハイ!」
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ってかんじで,模擬授業を終わります.パチパチパチ!
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笑いあり,考える時間あり,ディスカッションもあり,で高校生らも楽しんでくれた模様.


さて,ひと仕事終えたら,やっぱピザパだね!
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準備ができたので,かんぱ~い,お疲れ!
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いただきますっ,から~の,
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かかれっ!
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パクッ,そしてウマし.
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今回初めて二年生中心で短期間に準備したのだけど,
久しぶりに教育大学の学生らしく快活で,またよく教育に配慮した模擬授業になったと思う.
テスト期間中,忙しいにもかかわらず,あらためてご協力に感謝!

オープンキャンパス2016―準備(リハーサル)

昨日に引き続き,オープンキャンパス準備.本日はリハーサル.
tokidoki.hatenablog.jp

何となくピザを要求する少女.(まぁ,言い出したのは僕だけど.)
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新たに2年生有志が生徒役として参加してくれた.これはありがたい.
さて,時刻をセットして,と.
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「これから,数学科の模擬授業を始めま~す」的なシーン.
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ひとつ目の話題は「重心」.
特に非対称な図形の重心をどう求めるのか?が本題となる.
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実際に形を切り抜いてもらって,生徒らに考えてもらうシーン.
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後半の話題は自分が被せられた帽子の色を当てる「生き残りゲーム」.
mod 2バージョンなら,その場で生徒らも理解して実行できるかもしれない.
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うん,だんだん形になってきた.
互いにアイディアを出し合ってとても上手く事を進めてくれた.
さて,明日本番,お客さんは集まるかな?どんな仕上がりになるかな?
色々と楽しみであった.

オープンキャンパス2016―準備(制作)

今年も昨年に引き続き,学生の模擬授業を講座説明会とは独立させて行うことに.
しかし実施日がテスト期間中ということもあり,
呼びかけてもなかなか反応がなく一月ほど四苦八苦.

しかし時期が近づいたら何人か集まってくれて,そこにSigmaも加わる形に.
今回は二年生有志+Sigmaの3年.

参加する正式メンバー
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これから愛知県,切りま~す.でもカッターではきつそう.
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プレゼン資料の綿密な打ち合わせ.
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切断用の新しいアイテムをゲットして夢中になる少女.
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実施日は二日後.さてさて,間に合うのかな.

k倍完全数探し―その後とちょっとしたCollatz-likeな問題

前回はk倍完全数を探すのにちょっと使えそうな評価式を紹介した.
tokidoki.hatenablog.jp

で,その後の数学同人Sigmaにて,5倍完全数探しが続いた.
評価式によれば少なくとも13以上の素因数が必要となるので,
13を含んだ形でヒューリスティックに探していく.
その際,素数の冪の約数和を素因数分解した一覧表があると便利だということになり,
まずはそれを20未満の素数の範囲で書き出す.
その際,活躍したのがCASIOが提供している素因数分解をしてくれるwebサイトだ.
keisan.casio.jp
というか,随分色々やってくれるんだね,ここ.さすが電卓の会社だ.
で,今自分でやってみて気付いたのだけど,
なんと,入力欄には計算式入れても素因数分解してくれるんだね.

さて前回同様,Nの約数和をS(N)と表す.13を素因数に持つのなら
 S(13)=2*7,S(132)=3*61,S(133)=22*5*7*17,...
といった表を使うのだけど,たとえば61のような大きな素因数を持つものは
予め考えないことにして,13もしくは133が因数にあると思って話を進める.
下の写真で赤丸が付いているものが使えるもの,というつもりだ.
一方で13を因数に持つのだから他のS(素数の冪)で13を因数に持つものを拾い出し,
できるだけ新しい素数が現れないものを組み合わせていく.
そんなこんなであれこれやっていたら漸く一つの組み合わせを見つける.
 211*35*53*73*133*17=796928461056000
う~ん,巨大だね.
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さて,一つ見つけたのでwebで答え合わせ.
検索するともっとずいぶん小さいのがあるとのこと.
倍積完全数 - Wikipedia
5倍完全数はデカルトが1638年に見つけているのだそうだ.
まぁ,確かに上記のような方法であれば計算機がなくとも根気があれば見つけられそうだ.
しかしなんで我々が見つけたものがでかくなったのだろう,と振り返ってホワイトボードを見ると,
S(72)=57 が分解できることを忘れていたからだった.

さてさて,こんな表を見ていたら新たな問題を思いついた.
約数和S(N)をCollatz-likeに,つまり力学系的に見たらどうなるだろう,ということだ.
具体的には以下の操作を繰り返す.

  1. Nが偶数なら2冪の因数を取り除く.
  2. Nが奇数ならS(N)を求め,これを新たなNとする.

ちょっと手を動かしてみるとみな 1 に行き着くようだが,果たして.
本当に発散しないのだろうか?また有界でも周期軌道があるかもしれない.
例えば今回利用したS(N)の評価式から発散しないことが示され...ダメか.

あ,因みに,Collatzの3x+1問題はこちらで.
コラッツの問題 - Wikipedia
自分もこの問題に関するものを幾つか書いているのだけどね.
DSpace at 愛知教育大学: Collatzの3k+1予想に現れるフラクタルと記号力学
DSpace at 愛知教育大学: A fractal set associated with the Collatz problem
DSpace at 愛知教育大学: Interval Preserving Map Approximation of 3x + 1 Problem
DSpace at 愛知教育大学: The van der Corput Embedding of ax + b and its Interval Exchange Map Approximation

Van der Corput埋め込み(あるいはMonna map)のもとでCollatz写像の軌道を描いたもの↓
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k倍完全数探しのためのちょっとした評価

自然数Nに対しその約数の和をS(N)と表すとき,S(N)=kNとなるNをk倍完全数という.
k=2のときがいわゆる完全数というやつだ.例えば

 6×2=1+2+3+6,28×2=1+2+4+7+14+28.

2倍完全数についてはオイラーによって偶数の完全数の形が分かっているのに対し,
奇数の2倍完全数についてはその有無すら未解決の問題となっている.

自分が顧問をしている数学同人Sigmaは,このところk倍完全数探しをしている.
そもそもはk≧3に対するk倍完全数の表示式はないものだろうか,
という問いから始まったことだ.
(ネットで探せば何らかの結果が得られるだろうが,
 それをしたらSigmaの活動の意味が無い.)

手計算や計算機片手に探していく.100万までなら,
 2倍:6,28,496,8128
 3倍:120,672(因みに今年2016は2番目の3倍完全数の約数和だそうだ.2016=672×3)
 4倍:30240,32760
が見つかる.
4倍完全数までは10進BASICですぐに見つかるのだが,5倍からが見つからない.
少なくとも100万までには無かった.
こうして各自がそれぞれのアプローチをしているわけだが,
自分もひとつ絡んでみようと,通勤の運転中にぼや~っと考えてみた.
で,素朴なんだがちょっと面白い評価ができたので紹介.
まぁ,どこかでは知られてはいるんだろうけど.

これを使えば,例えば5倍完全数ならば13以上の素数を因数に含んでいなければならない,
といった評価ができる.
もう一つ,ある程度の大きさのkに対する奇数のk倍完全数があるとすれば,
かなり大きな素因数を,それもかなり多数の素因数を含んでいなければならない,
といったことも覗わせてくれる.
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