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Art Award IN THE CUBE 2017 @ 岐阜県美術館

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ふらっと行ってきました,Art Award IN THE CUBE @ 岐阜県美術館.
art-award-gifu.jp
審査員には(私が勝手に)同士だと思っている高橋源一郎さんや
日々,折々の言葉で(勝手に)お世話になっている鷲田清一さん,
初年次演習ではかつて(勝手に)アレンジして遊んだことで(勝手に)お世話になった
逆シミュレーション音楽の三輪眞弘さんがいることも気になって行ってみた.
tokidoki.hatenablog.jp

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応募者らはこの与えられたCUBEの中に作品を作るという寸法で,何でも今年が最初の試みとのこと.
古い世代はCUBEというとあの映画を思い出すのだけどね.

CUBEキューブ Blu-ray

CUBEキューブ Blu-ray

では,中を見ていこう.
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三枝 愛「庭のほつれ」/O JUN賞.
美術館庭にぽつんと建てられたCUBE.何があるかと覗くところんと木が転がってる.
東日本大震災からシイタケ農家に必要な原木が不足したこと,
それによって生活の風景が一変したこと.
情報の激流によって薄皮でしか物を考えなくなった社会で,
敢えて考えるために立ち止まる人たち.
現代アートとはそういった人たちが居る場所でもあるのだよね.

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安野 太郎「THE MAUSOLEUM ー大霊廟ー」/高橋源一郎賞.
館内に入ると何やら不協和音がブーブカブーブカ聞こえてくる.
その発生源がこれ.大小さまざまなリコーダーがポンプから送られる空気で鳴っている.
人類滅亡後,永遠に弔いを続けるロボットという想定らしい.
しかし,こんなデカいリコーダーもあるんだなぁ,と別の角度で感心.

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柴山 豊尚「ニョッキ(如木)2017」/十一代大樋長左衛門賞.
板を重ねてそれを削ってできた,どこか別の惑星の景色のような空間.
この中で寝そべって想像すると楽しそうだ.

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森 貞人「Mimesis Insect Cube」/中原 浩大賞.
ワサワサワサッとガラクタで作られたたくさんの昆虫.「ガラクタ虫」と呼んでるそうだ.
使い古された道具たちがこうして虫として生まれ変わった.
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で,ひょいと目をやると何やら人の下半身が上の方で垂れ下がってる!
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何々と中を覗くと人が倒れてる,っていうか手がカタツムリ!
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耳のないマウス「移動する主体 (カタツムリ)」/三輪 眞弘賞.
小さな子が見たら夢に出てきそうな作品.これちょっとずつ動いてるんだ.
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壁に貼りついてるヒトの指先だって,カタツムリの目のように動いてた.
こう,こっちに寄って来るとうわ~ん,てなるよ↓
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あぁ,あれだ,ヒトがどんどんカタツムリになっていく
伊藤 潤二のマンガ「うずまき」を思い出したよ.

うずまき (2) (スピリッツ怪奇コミックス)

うずまき (2) (スピリッツ怪奇コミックス)

ちょっと落ち着こか.
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宮原 嵩広「Missing matter」.
CUBE全体に敷き詰められた「アスファルト」,ただそれだけだ.
確かにアスファルトのニオイが充満して余りそこに立っていたくない感じだった.
やがて枯渇する化石燃料,大木や自然に感じる神性と同じ思いを
アスファルトに抱く時代がくるかもしれない,ってなことらしい.

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三木 陽子「Conduit(導管)」.
そのとき全く分からなかったのだけどあとから調べたら陶芸作品とのこと.
建物の裏側なんかにありそうな導管なんだけど,これが蔓のように壁にまつわりつき,
したたかな生き物の様でもあり,
あぁ,うちの庭の草取りしなきゃなぁ,なんて思ったり.

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松本 和子「透明の対話」.
どこか懐かしい感じはフレスコ画という表現方法にあるのだろうか.
朝の透明さがなんだか涼しかったりした.

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ミルク倉庫+ココナッツ「cranky wordy things」/大賞.
寝言を言っている人の動画やら,突然音を立てるガンガンやら,
勝手にくるくる回り続ける机の上の小物.
その場は直ぐに立ち去ったが,家に帰ってから解説を読んだ.

物質という有限性を凌駕する何かしらに憑かれ、一時の『身体』がたち現れる

ああ,なるほど,だから何だかオカルティックだったのか.
そういえばケン・ウィルバーの「空像としての世界」を読んだとき,
僕らって要するに精神の受信機なんだ,と思ったのだっけ.
そう,僕らの身体はいつか土に還るまでの借り物なんだってことさ.

空像としての世界―ホログラフィをパラダイムとして (1984年)

空像としての世界―ホログラフィをパラダイムとして (1984年)

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谷本 真理「この部屋とダンス」/田中 泯賞.
一見,現代アートにしばしばありがちなダダイズム的な何か,かと部屋を覗く.
田中 泯賞を取ったとのこと,そしてタイトルには「ダンス」.
あれ,確かに部屋の落書きは何か躍った後のような,全てのものが躍動しているような.
できればタイトル見ないでそれを感じ取りたかった.ちょいと悔しいような.

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中村 潤「縫いの造形」.
CUBE全体が「縫う」という行為を表現していた.
ああ,できればその「縫う」行為の中に埋もれてみたかったかもしれない.

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堀川 すなお「モノについて」.
実は入ったところに中が見えない箱が二つ置いてあり,
そこに手を入れて入っているものの様子を感じて,それから作品を見ると面白い.
子どもたちに同じことをしてもらって,感じたことを言葉にして,
その情報を元に再びデザインするといった行為が展開されていた.
とはいえ,かなりデザインが繊細で美しかったため,
だから子どもの言葉とどれくらい対話が行われて描かれたのだろうか,
と,かえって訝ってしまう自分がいた.

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水無瀬 翔「DEMO DEPO イン・ザ・キューブ支店」/鷲田 清一賞.
後でじっくり解説を読んで,なるほど鷲田さんが選びそうな話だ,と思った.
ほら,例えば本来家庭が受け持っていた躾を始めとする様々な役割を
今どきの人たちは学校にアウトソーシングしているでしょ.
そのくせきちんと行われていないと学校を非難するでしょ?

この作品,本来どうしても社会に主張すべきことがあって
それを社会に知ってもらうために行うはずの「デモという行為」をアウトソーシングする,
っていうブラックジョークなわけだ.
しかもデモするのは人間ではなくロボット.
分業化が徹底的に進んで一生の営みがどんどんアウトソーシング化して,
果たして僕らのどこに僕らの人生があるんだろうね.
気付けばYahoo!知恵袋に課題の質問をする学生達ってのは,
学習自体もアウトソーシングしているわけで,
そんな風に上澄み液だけ啜って終わる人生って,楽しいのかね.

↓アハアハアハ,っていう機械的な笑いもアウトソーシングですか.
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さてさて,しかしこの日をわざわざ選んで岐阜県美まで行った理由,それがこの作品↓
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平野 真美「蘇生するユニコーン」.
この作品,ただのぬいぐるみではない.
架空の動物であるユニコーンを解剖学的見地を元に,
骨格から内臓,筋肉,表皮まで全てを実際に作ってあるのだ.
かつ,作家さん当人の話によれば口から肛門まできちんと一続きの仕組みにしてあり,
心臓も心房心室を作って外部からの「輸血」によって循環するように作り込み,
また口に伸びる管からは空気が送り込まれ,
それは確かに「肺」にとどけられているとのこと.
いや,実際胸のあたり,静かに上下しているのだ.
岐阜大獣医学科に足を運び獣医から学び,リアリティーを追及したとのこと.
本当は解剖にも立ち会う予定だったそうだが,
鳥インフルエンザ騒ぎで獣医学科がてんやわんやで話が流れてしまったのだそうだ.

しかし今回,その平野さんが会場に現れ「胃の交換手術」を行うのである.
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↓赤いのが,交換前の「胃」.
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ラテックス製の胃は随分と弾力性があった.
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↓うわぁ,随分と大胆に胃を押し込んでいくよ.
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↓右の黄色いのは取り出された方の胃.素材が違うのだそうだ.
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手術の最後までは見届けなかったのだけど.
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こうして思うのは,モノを一生懸命作る人というのは,やはり美しいということ.
ってお前,何を撮りに行ってるんだよ,というツッコミは無しの方向で.
いずれもILCE-6000+(SEL1670ZF4.0,SEL30F3.5Macro), Lightroomにて現像

おっと,そうそう,もちろん帰りの電車では高橋源一郎さんの本を読んでたよ.

丘の上のバカ ぼくらの民主主義なんだぜ2 (朝日新書)

丘の上のバカ ぼくらの民主主義なんだぜ2 (朝日新書)

実質日本会議である改憲勢力が2/3を超え維新を含めた大政翼賛会化してしまった国会と,
そしてその日暮らしのごく身の回りのことしか関心を持たない
羊よりも大人しい多数の同調主義者たち(これを「羊たちの沈没」という).
ひとたびこの国でテロが起これば,
あっという間に九条の精神は不安と怒りに呑みこまれてしまうだろうし,
それにかこつけて「個人」を「人間という動物」へと格下げする,
小学生の読書感想文にも劣る,しょーもない日本会議草案に流れてしまうのだろうな.
何てことあんまり書いていると,現代版治安維持法(テロ等準備罪)に引っかかったりして.
あたらしい憲法草案のはなし

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残念な国(10-a)―静かなクーデターとレジスタンス

先のトルコの軍事クーデター未遂はさすがにヒヤリとした.
トルコは(不謹慎を承知で言えば)対ISの最前線の砦だからだ.
もっとも,そもそもトルコは軍が建国しており,政局や治安が不安定になると
軍がクーデターを起こして正常に戻すといったことの行われてきた国だ.
戦前の日本のように軍部の暴走によって戦争へひた走るのとは質的に違う.
実際,世俗主義を心情とするトルコ軍は政教分離を訴える組織であり,
この度のクーデターはエルドアン政権による独裁化と極度なイスラム化への警鐘を
軍が鳴らしたという構図になるそうだ.
ただ今回は"困ったときの正義の味方"として民衆から愛されているはずの軍が,
旧態依然の暴力的な行動で政権を倒そうとしたことに対し,
十分に民主化して育った市民らの反感を買って成功しなかった,ということらしい.
自分たちの頭で考え行動し,政権側にも軍側にもつかなかった,
民主主義の下で十分に成熟したトルコ市民が,どこか頼もしく,羨ましく感じられた.


さて,しかし話題にしたいのは,この目に見える他国のクーデターのことではない.
この国でこの夏に起こった,静かなクーデターとレジスタンスについてだ.

一つ目はもちろん,ついに改憲に手の届く状態となった,この7月の参院選だ.
いや正確にはこれが最後の仕上げ,と言ったほうが良かろう.
現行憲法を「アメリカの押し付け憲法」と憎むとともに,
あの大日本帝国の復活を心から願う政治思想団体「日本会議」が,
ほぼ敗戦直後から70年という長い時間をかけてできるだけ目立たぬよう企ててきたこと,
つまり,アメリカ的なリベラルな,
「場の空気」から独立して個人が個人として考えることの許される
民主主義・個人主義の転覆がついに実現間近となったのだ.
国会議員のおよそ4割が「日本会議」関係者,
おまけに首相はその特別顧問である,という事実は,
現国会が国民の代表者達からなるものではないという異常事態を明示している.
(国民の4割が「日本会議」関係者とでも云うのだろうか?)
tokidoki.hatenablog.jp

まだ国民投票があるじゃないか,というだろうが,
大衆ではなく先のトルコのような成熟した市民が育たなかったこの国で,
どれだけの国民が一時の感情や場の空気や私的損得勘定から離れて,
この国,あるいは人の在り方を俯瞰して憲法を議論できると云うのだろう.
憲法という国の根幹を成す物を,現在という極短期間のスパンだけでなく,
歴史を振り返り遠く未来を仰ぎ見て,また世界におけるこの国の在り方を,
じっくりと丁寧に考え議論を進めていく風土がどこにあるというのだろう.

明治憲法が発布されたとき,福沢諭吉はこんなことを言ったそうだ.
そうして130年経った今,日本国民はどれほど成長できたのだろうか.

そもそも西洋諸国に行わるる国会の起源またはその沿革を尋ぬるに,
政府と人民相対し,人民の知力ようやく増進して君上の圧制を厭い,
またこれに抵抗すべき実力を生じ,
いやしくも政府をして民心を得さる限りは内治外交ともに意のごとくならざるより,
やむを得ずして次第次第に政権を分与したることなれども,
今の日本にはかかる人民あることなし.

tokidoki.hatenablog.jp

多くの人びとには真に戦うべき相手「戦前の亡霊」が見えていない.
しかし,その亡霊たちの足音は確かに近づいている.
lite-ra.com


明治憲法が作られようとした頃,市井の人々も真剣に憲法を作ろうとした.
五日市憲法草案に代表される民間の草案が幾つも作られたのだそうだ.
その辺りの話を丁度,皇后陛下が語られているので引用しよう.

5月の憲法記念日をはさみ,今年は憲法をめぐり,
例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます.
主に新聞紙上でこうした論議に触れながら,かつて,あきる野市の五日市を訪れた時,
郷土館で見せて頂いた「五日市憲法草案」のことをしきりに思い出しておりました.
明治憲法の公布(明治22年)に先立ち,
地域の小学校の教員,地主や農民が,寄り合い,討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で,
基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務,法の下の平等,
更に言論の自由,信教の自由など,204条が書かれており,
地方自治権等についても記されています.
当時これに類する民間の憲法草案が,日本各地の少なくとも40数か所で作られていたと聞きましたが,
近代日本の黎明期に生きた人々の,政治参加への強い意欲や,
自国の未来にかけた熱い願いに触れ,深い感銘を覚えたことでした.
長い鎖国を経た19世紀末の日本で,
市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして,
世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います.
皇后陛下お誕生日に際し(平成25年) - 宮内庁

いわば「日本会議」によるアメリカ的民主主義・個人主義に対抗する
非常に長い時間をかけたクーデターが今回の参院選で実現したわけだが,
一方でその参院選直後に,静かなレジスタンスがあった.
天皇陛下が「生前退位の御意志を表明された」ことだ.
なぜこのタイミングでこのニュースなのだろうと色々引っかかったのだが,
実質的な権力を握っている「日本会議」が目指す,
「天皇の現人神(あらひとがみ)化」への強い抵抗を表している,
それも改憲発議が可能となった今こそ示しておかねば,というメッセージだという見方があるそうだ.
戦後,象徴としての天皇の役割を一身に引き受け徹せられてきた今上天皇が,
あくまでも天皇は「神」ではなく役割に過ぎないのだ,ということを
改めて世に示そうとしているのだ,と.
lite-ra.com

近年とみに太平洋戦争の激戦地へ赴かれ慰霊されるお姿は,
風化していくこの国による先の大過へ国民をもう一度振り向かせるとともに,
政治的発言が許されない陛下が象徴としての役割をフルに活用した,
この国の行く末を担う者たちへのメッセージに他ならない.
その背中でもって「日本会議」による「戦前回帰」への静かな抵抗を
他ならぬ陛下御自身がされているのである.
courrier.jp

日本会議 戦前回帰への情念 (集英社新書)

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日本会議の研究 (扶桑社新書)

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残念な国(9-c)―日本会議が目指すモノ

どういうわけだか選挙戦では一切語られることのない日本会議.
2015年9月時点で全国会議員の4割(281名,うち自民が256名)が属している,
戦前の大日本帝国を誇りに思う団体だ.
# つまり明治以前の日本への郷愁があるわけではない.
# 彼らが愛してやまないのは,あくまで大日本帝国なのだという点を忘れると,
# 途端に彼らの言動の真意を見誤ってしまうだろう.

神道とも結びついた極右団体なので,
野党も批判すれば選挙演説中に刺されかねないと皆口をつぐんでいるのかもしれない.
いきり立ったごく普通の愛国主義的庶民らによって
そう遠くない将来,現代版二・二六が起こるように思えてならない.
二・二六事件 - Wikipedia

因みに,第3次安倍内閣では20閣僚中12人が日本会議国会議員懇談会に属している.
安倍首相は麻生太郎氏とともに特別顧問をやっている.少しリストにしてみよう.
と思ったらこんな一覧がネットに落ちてた.甘利氏がいるのでちょっと古いか.
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hbol.jp

そもそも日本会議の主張と行動はどんなものなのか.
Wikiからなので心許無いが,そのソースが日本会議のHPやパンフレットから
ということなのでそのまま引用することにしよう.

1.日本の皇室関連の運動
男系による皇位の安定的継承を目的とした皇室典範改正
# 早速このあたりから戦前の空気「男尊女卑」の思考が見られる.

皇室の地方行幸啓の際の奉迎活動
# いわゆる,天皇陛下万歳!を国家を挙げてやりたい,ということだ.

2.改憲運動
# これに関しては何度も触れてきた自民党の改憲草案が全てを語っていよう.
# これは実質的に日本会議による改憲草案なのだから.

3.教育関連の運動
学校教科書に於ける「自虐的」「反国家」な記述の是正
# 教育現場にいる皆さんならこのあたりの神経質な振る舞いをよく御存じだろう.

「親学」にもとづく親への再教育,いじめ撲滅等を目的とした「家庭教育基本法」の制定
# 出ました,国家が国民を管理・監督し指導するのが当たり前という大日本帝国の基本精神.
# 結局かつてこの国を覆った精神性が,個人が開放されたはずの戦後においてすら
# 確立した個人としての市民を育てるに至らなかった背景なのだろうと思えてならない.

教育委員会制度の改革
# これも国家監視の下ということでしょう.

「公共心」「愛国心」「豊かな情操」教育等を盛り込んだ「新教育基本法」の制定
# 特にここで掲げる"公共心"概念の下,
# 自民党改憲草案では基本的人権が大幅に制限されようとしている.
# 草案の第13条がそれだ.そして子供のうちからこの精神性を叩きこもうという訳だ.
tokidoki.hatenablog.jp

「国旗国歌法」の制定
# 大日本帝国万歳!ですね.たとえばこの3月に岐阜大学が
# 国歌斉唱を入学・卒業式で行わないことを決めたことに対し,
# 馳浩文科大臣が「国立大学として,恥ずかしい」と発言したことが問題となったが,
# こうして問題とできるうちはまだ幸せなのだ.
# その発言の精神性の背後にあるのは「国が金を出してやってるんだ,大人しく従え」であり,
# そうするのが常識の世の中(つまり個人が考えることを止めた社会)になったとき,
# 人々は容易に「反日」の烙印を押すことだろう.これは戦時中の「非国民」と同じ意味だ.
# 「非国民」―この言葉の下でどれだけの自由な精神が踏みつけにされ,人々が虐待されたか,
# すっかり人々は忘れてしまった.こうして歴史は繰り返されるのだ.
#
# 因みに,同様な議論は実はこの大学でも起こりかけた.
# 大学お取り潰しにならぬために国歌斉唱を入学式の式次第に入れようとした執行部に,
# 「それは最高学府である大学の死だ」と反対を声明した教員が複数いた.
# 「つまらぬことで波風を立てるな」という現実主義的な意見で式次第には組み入れられたが,
# 本当はこの事勿れの精神性こそ見過ごしてはならなぬことなんだ.

おっと,この件に関する参考記事↓
synodos.jp

4.国防関連の運動
# 大日本帝国としては当然の動きでしょうが,ここでは触れない.

5.靖国神社関連の運動
内閣総理大臣の靖国神社公式参拝実現
# 日本会議の悲願でしょう.現在は公式だとあからさま過ぎるために"個人として"参拝しているが,
# 一方で「A級戦犯」と呼ばれる人たちが合祀されている神社への参拝が
# "粛々"と続けられているのは偏に日本会議の強い意向の反映なのだと最近分かった次第.
# 何しろ「A級戦犯」は"欧米列強からアジア開放を目指した英霊たち"だからだ.

靖国神社に代わる無宗教の「国立追悼施設」建設反対
# したがってこういった施設建設は当然反対するでしょう.
# 名目上,戦争で亡くなった国民への哀悼を表すことにしている靖国参拝から
# 亡くなった国民のみを分祀して新たな施設を作ったなら,
# 彼らの英霊である「A級戦犯」への参拝が公式に叶わなくなるわけだから.

6.極端な男女平等思想への反対運動
「選択的夫婦別姓法案」反対,「ジェンダーフリー」運動反対
# この男女同権を否定する復古的な動きも日本会議の特徴だ.
# 丁度NHK朝ドラの「とと姉ちゃん」でも「若い女の子が道の真ん中を歩くものじゃありません!」
# と年配の女性に叱られるシーンがあった.
# 「どこを歩こうと勝手じゃないか」という主人公の心の声と共にそのシーンは終わるのだが,
# 「男だから」「女だから」という,個人の確立を妨げる動きは日本会議に一貫したものだ.
#
# 戦時中,男尊女卑の世の中で進んでそれを促進しようとする国防婦人会という組織があった.
# もっとも,不自由な立場にあった女子にそれなりの立場を与える仕組みだった,
# という見方もあるそうだが,その現代版の↓の組織は如何なものだろうか?

www.soyokaze2009.com

7.日本の主権を侵害すると日本会議が見做した動きへの反対運動
外国人地方参政権反対,「人権機関設置法」反対,「自治基本条例」制定反対
# 初めの外国人参政権反対以外はなぜ反対するのか分かり辛いかもしれない.
# しかしいずれも彼らの理屈からすれば「在日擁護である」という点で一致しているようだ.
# そしてこれらいずれの反対運動にも組織があり,そして日本会議とのつながりは隠している.
# 例えば↓

自治基本条例に反対する市民の会公式サイト-トップページ-

ひたすら成長のみを目指していた経済が立ち行かなくなった世界中で
ナショナリズムの動きが広がっている.
そしてこの国では戦後70年をかけて虎視眈々と戦前回帰を狙う組織が,
気付けば巨大な力を持っていた.
もう全ては遅きに失した.おそらく参議院で3分の2を改憲勢力は獲得するだろう.
個人として考える市民が育たなかったこの国ではきっと,
イギリスのように国を二分するような議論にすらならずに,
この国に新憲法,新・大日本帝国憲法が制定されるのだろう.

そうなる前の,あるいは最後の僅かな僅かな望みが,
実は日本会議自身が再び担ぎ上げようとしているあの方々かもしれない.
真の意味での人類としての良心,この国の最後の良心である,あの方々.

本年は終戦から70年という節目の年に当たります.
多くの人々が亡くなった戦争でした.各戦場で亡くなった人々,広島,長崎の原爆,
東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした.
この機会に,満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び,
今後の日本のあり方を考えていくことが,今,極めて大切なことだと思っています.
 
天皇陛下のご感想(新年に当たり):平成27年 - 宮内庁

私自身,戦後生まれであり,戦争を体験しておりませんが,
戦争の記憶が薄れようとしている今日,謙虚に過去を振り返るとともに,
戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に,
悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています.
 
皇太子殿下お誕生日に際し(平成27年) - 宮内庁

日本会議の研究 (扶桑社新書)

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日本会議 戦前回帰への情念 (集英社新書)

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残念な国(9-b)―あたらしい憲法草案のはなし

お,やるじゃないか.
www.asahi.com
争点化を避けている政府与党に対し,マンガ雑誌らしい提起の方法だ.
ちなみにこれはかつての文部省(文科省ではない)が
戦後の新しい国の形を子供向けにやさしく説明したもので,
現在では青空文庫としてweb上で読めるようにもなっている.
文部省 あたらしい憲法のはなし
その中にある↓の画は教科書で皆見たことがあるんじゃないだろうか.
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戦争に使われていたものを平和なものに作り変えていこうという国家の意気込みを表す,象徴的な画だった.
人々がこんなふうに心底平和な世界を願っていた時代だった.

さて,この「あたらしい憲法のはなし」を読んだついでに,
次の「あたらしい憲法草案のはなし」を是非読んでみて欲しい.

あたらしい憲法草案のはなし

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  • この商品を含むブログ (5件) を見る
うんうん,なにしろ自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合が作っているんだ,
きっと素晴らしいこれからの新しい国の形を示してくれているに違いない.
出版社のHPにある内容紹介を見てみよう.

「国民が国家をしばる約束」から「国家と国民が協力してつくる『公の秩序』」へ.
草案の提案する憲法観の大転換を,起草者たちの論理と願望にぴったりとよりそって語る.

そうそう,もう本当にぴったりと寄り添い,ありったけの想像力を駆使して
どんな思いでこの草案が作られたのかを考えないと分からない内容だものね.
はじめに,を読んでみよう.

....
 憲法はいま,大きな分かれ道にたっています.政府と与党である自民党のあいだで,いままでの憲法をあたらしい憲法に変えようという気運が高まっているのです.
 憲法を変えるためには,衆議院と参議院のそれぞれで,3分の2以上の議員の賛成を得ることが必要です.両院で3分の2以上の賛成を得られたら,つぎには国民投票がおこなわれ,投票者の2分の1以上の賛成が得られれば,あたらしい憲法に変わります.
 このように,憲法を変えるためには,とても高い壁がたちはだかっています.それだからこそ,憲法は70年も変えられずにきたのです.
 ですが,この高い壁がこえられる日は,近いかもしれません.憲法を変えたいと思っている両院の国会議員の数が,3分の2を超えようとしているからです. 
 いいかえれば,いままさに,わたしたち国民ひとりひとりが,現在の憲法のままがよいか,あたらしい憲法に変えるべきかを問われているのだといえましょう.

おやおや,それは大きな変化だね.

 あたらしい憲法のもとになる案は,平成24年(2012年)4月27日に自民党が発表した「日本国憲法改正草案」(以下,憲法草案と略します)です.
 みなさんは,この憲法草案がどんなものかごぞんじでしょうか.よく知らないという人が多いのではないでしょうか.そんなことでは,いまのままの憲法がよいか,あたらしい憲法がよいのか,判断することができません.

うん,全くその通りだ.ちゃんと読み比べなくてはね.

 そこで、わたしたちも,70年近くまえの『あたらしい憲法のはなし』をみならって,『あたらしい憲法草案のはなし』をつくることにしたのです.
 わたしたちはこの草案をつくった人(起草者)ではありません。ですが、できるだけ草案をつくった人びとの気持ちによりそい、そこにこめられた理念や内容 をつたえたいと考えました。改正の意図がわからない点は自民党が出している資料などを参考にし、それでもわからないときは、起草者の身になって考え、ことばをおぎないました。

いやぁ,そうなんだ,どうしてそう変えようと思ったのか,さっぱりわからないところが沢山あるからね,
ありったけの想像力を駆使してもちょっと分かりかねることばかりだからね.

 憲法改正に賛成する人も,反対する人も,どうぞこの本をお読みください.この草案を考えた人びとが,どれほど強い,熱い思いをもって,あたらしい憲法をつくろうとしているかが,きっとおわかりになるでしょう.そのうえで,憲法を変えたほうがよいのかどうかを,しっかり考えてもらいたいと思います.

では目次を見てみよう.

  はじめに
1 憲法を変える理由
2 国民主権の縮小
3 戦争放棄の放棄
4 基本的人権の制限
5 強く美しい国へ
資料1 「あたらしい憲法のはなし」(抄録)
資料2 自民党憲法改正草案(現行憲法条文対照)

いやぁ,素晴らしい.
戦後70年,あの戦前の息苦しさを十分に取り戻しているこの国の
最後の総仕上げがこの草案というわけだ.

そして空気を読むことに長けた若者たちはより空気を読んで生きねばならない世界を望むんだね.
18~19歳「自民に投票」44% 本社調査 経済政策「評価」48% :日本経済新聞
www.nikkei.com

まぁ,真剣に考えて行動する同世代を「意識高い系」などと揶揄し,あるいは自虐する彼らだ.
人と違ったことを堂々と言う者達を鬱陶しく感じるのも想像に難くない.
ネット上いたる所で見られる若者によるSEALDS叩きはそんな空気の象徴だろう.
「列を乱すな!大人しくしていろ!」―これが日本の空気だ.
「ぜいたくは敵だ!」「一億総火の玉だ!」―あの時代から何も進歩していない.
国民精神総動員 - Wikipedia

そう.もう一度言うが,この国には結局,市民は育たなかった.
個人というものをその土台に据え,自分の頭で考え自分の言葉で話す市民は育たなかった.
戦後の学校教育は市民を育てられなかったのだ.
育ったのはひたすら空気読みに長けた大衆だけだった.
たとえ市民が育ちかけても,悉く「日本の空気」に呑みこまれていく国なのだ.
tokidoki.hatenablog.jp

戦後70年,リベラルな空気に抑圧されてきた日本会議のみなさん,おめでとう.
ようやく皆さんの目指す「良い子の国」新・大日本帝国の建国が間近となったのです.

tokidoki.hatenablog.jp

日本会議の研究 (扶桑社新書)

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日本会議 戦前回帰への情念 (集英社新書)

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残念な国(9-a)―二度の世界大戦を忘れた人類,再びナショナリズムの嵐へ

タイトルは「残念な国」ではなく,「残念な人類」とすべきかもしれない.

本日,イギリス国民はEU離脱を選択した.
"Britain first!"と叫ぶ男に残留派のジョー・コックス議員が殺害されるという,
自分がイギリスに対して抱いているイメージからは違和感を感じる事件があった.
日本で言えば差し詰め「天皇陛下万歳!」だろうか.

残留派と離脱派についての面白いデータが有った.
"Education and EU referendum"というものだ.
つまりその人が受けた教育レベルと残留/離脱との関係だ.
これによればイギリス独立党を除く全ての各政党支持者の教育レベルが高いほど
残留を支持するという結果だ.
yougov.co.uk
教育レベルと年収には正の相関があることはよく知られた事実だが,
それを踏まえれば極自然な結果と言えよう.
不満層は移民排斥に流れやすい.「全てはあいつらのせいだ」と.
裏を返せば,高収入の層にとっては現状が良いはず,でもある.

一方,「トランプ大統領」が現実味を帯びてきたアメリカでは,こんな面白い動きがあった.
トランプが大統領になるくらいなら,アメリカを出たほうがマシだ,という.
www.afpbb.com
世界中から人を受け入れ,まさにそのことによって
世界中の頭脳もカネも集まった自由の国アメリカにおいて,
移民流入を防ぐ万里の壁「トランプ・ウォール」を作ると言っている.
(それもメキシコ負担で,ってところがちゃっかり.)

かのホーキング博士も
「最も低レベル層の大衆が支持する扇動政治家」なんて,
もう歯に衣着せぬ言いっぷり.因みに博士もEU残留派だ.
www.huffingtonpost.jp

フランスではパリでの連続テロの後,
ルペン氏が率いる「国民戦線」が支持を広げている.
www.newsweekjapan.jp

哲学の国ドイツでも極右政党AfDが躍進した.
gendai.ismedia.jp

遡ればハンガリーが近年,憲法改正を行ったのだが,
民主主義の危機として世界から批判を浴びている.
その憲法がまた,自民党,いや,日本会議が作った憲法草案に
目指すところが実によく似ている点は,特筆に値する.
newsphere.jp

こうして改めて見回すと,世界は理性を失いつつあるのがよく分かる.
経済が立ち行かなくなったとき,国が国としての形を保つためには,
つまり国を形づくる民衆をまとめ上げる最も安易な方法は,
「強い国家像を掲げるナショナリズム」であることは,
人類の歴史が幾度となく世界中の至る所で繰り返し示してきた.

21世紀になっても結局,その手法から人類は卒業できないでいる.

あるいは人間の寿命がわずか一世紀にも満たないこと,
そのことが人類の次なるステップを妨げているのかもしれない.
(だから人類の知的寿命を飛躍的に伸ばす一つの現実味のある方法が
 人工知能なんだと妄想しているが,その辺りは別の機会に.)

いずれにしても,人々の間にある経済格差はQOLの格差,特に教育格差を生み,
ひいては理性の格差を生んでいる.
イギリスを二分した今回の投票もこの理性格差の反映だとも見える.
その対立の構造は今や先進国の至る所で見られる.
もちろん我々の国も例外ではない.


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兎にも角にもトランプ氏曰く「強い,偉大なアメリカを再び」だそうだ.
おやおゃ~,どっかで聞いたフレーズだなぁ.


【自民党 新CM(30秒Ver.)】「日本を、取り戻す。」

日本会議の研究 (扶桑社新書)

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日本会議の全貌  知られざる巨大組織の実態

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