初めにお気に入りのイタズラを紹介しよう.
curazy.com
僕はこれはこれでアートだと思うんだ.
日常が非日常に変わる瞬間.
何も特別な出来事が無くとも,それは人の頭の中だけで起こること.
それを意図的に引き起こしたのなら,それは十分にアートなんだ.
かつてマルセル・デュシャンが当時の美術界に対して行ったイタズラ,
その系譜はずっと受け継がれているわけだ.
(その「受け継ぐ行為」はデュシャンの意図からすると逆説的かもしれないが.)
k-daikoku.net
世界の,日常の再認識のスイッチを入れること,それがアート.
さて,そういう前置きはともかく,3年ぶりに始まった「あいちトリエンナーレ」.
今回もどんな素敵なアイディアに出会えるだろうとワクワクだ.
今年は会場が名古屋・岡崎・豊橋と3カ所,時間のあるうちに周ってしまっておきたい.
で,本日は何はともあれ全体のコンセプトを感じようと愛知県美術館へ.
何度も言うが,現代アート物は撮影OKなのが何より嬉しい.
(県美N-06)Taloi Havini
南太平洋の貝や石のお金を模したものを数珠つなぎ.経済への問い掛け.
(県美N-07)Dilek Winchester
文字や言葉を「観る」ということ.
(県美N-08)Iman Issa
20世紀抽象アートをさらに再解釈するってことらしい.
(県美N-11)三田村光土里
少女の闘い,世界との,あるいは他者との.
「自由でいるためには 手放すことを恐れてはいけないの
たとえそれが どんなにたくさんのものでも」
「人はお互いを理解することはできない そのことを理解しなくてはなりません」
(県美N-12)Mark Manders
彫刻という行為は,何を掴もうとして起こるのでしょうか.
(県美N-13)大巻伸嗣
日本画の顔料を撒いて描かれた巨大な作品.曼荼羅に近い祈りのような.
(まぁ,1枚目,撮影失敗してるけど.)
(県美N-10)中村裕太
陶器そのものは透き通っていないのに,影を見ると中に光が差し込んでいる.
おやおや,とおもったけど,よく見たらなるほど.でも,これ意図したことなんだろうかね?
(県美N-04)Kwayan de Guia
B級映画のフィルムをクルクル巻いて作られた馬たち.
これ,尻尾から息を入れると「ブッ」て鳴るのだけど(ってやってる人たちがいた)
きっと作ってから作者本人が気付いたにちがいない.
(県美N-03)Jerry Gretzinger
架空の地図,今回のトリエンナーレの表紙にもなっている作品.
落書き気分で始めたものがいつの間にかアートになったのだそうだ.
(県美N-17)田島秀彦
11階の回廊の展示.空間構成に目が行ってしまったのだけど,
「タイル」がこの作品の主.
このカーテンと原色の組合せで三年前のトリエンナーレの青木淳氏の作品を思い出した.
そしていつも思うが,この回廊,暑い.
(県美N-18)Valsan Koolma Kolleri
現代建造物との取り合わせの妙,竹と土の建造物.
(県美N-20)味岡伸太郎
愛知県内の様々な土地の土を集めて塗った作品.
土のカラーチャート,土の表情.
(県美N-21)竹川宜彰
政治・社会問題を寓話的に表現.
(県美N-23)高橋士郎
ある小説を挿絵的に説明するような作品.
こう提示されると逆に元となった小説がどんな話なのか気になる.
あちこちで作品が動き回り,色々と滑稽で面白かった.
因みにこの作者は1970年の大阪万博にも出品された方だそうだ.
↓ニョロニョロ回ってたり,髪の毛逆立っててちょっと怖かったり,
↓これは口をパクパクさせるし,
↓これは息をするように音が出るんだ.
因みに,この回転しながらカチカチ音のする作品↓を見て,
高校生なんかが研究するのに丁度良さそうな,
ちょっとした数学の問題を思いついたのだけど,具体化できるかな.
(県美N-37)岡部昌生
このシリーズ,四月に豊田市美術館で一度目にした.
tokidoki.hatenablog.jp
木の年輪や洞窟やトンネルの壁や,とにかく凸凹した場所を版画のよう写し取る.
この後行く名古屋市美術館でも,そして次の日訪れた豊橋でも見ることになる.
(県美N-33)西尾美也+403architecture [dajiba]
アートプロジェクトもの.かき集めた服を観客がリアレンジして,
さらにその服を利用した何らかのアートを記録するというプロジェクト.
(県美N-23)高橋士郎
このバルーン作品も先程の小説と関連有るのか無いのか...
(県美N-02)森北伸
オアシス21から地下でつながっている場所にある大きな作品.
チャップリンの映画「ライムライト」をモチーフにしたもの,なのかな.
現代のおとぎ話の様な.
こうしてしばらく非日常な空間にいると色々なものがアートに見えてくる.
ってわけで,館内にあった何も貼ってない掲示板が何だかアートだったので撮ってみた.
他にも映像作品や,撮影不可もの,撮影しなかったものなど多数.
しかし県美の一次調査としては本日これまで.
まだ時間があるので,この後,名古屋市美術館へ.
(あいちトリエンナーレ2016―第1次調査(その2)へ)
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