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ゼミ紹介

今年は例年よりやや遅く3年生向けの各研究室ゼミ紹介。
こういうときに限ってなぜか朝から腹痛。
さて自分の番、今年も言いたいことが言えず、
余計なことばかりは例年通り。
口頭では真意は伝えられなかったから、
文面でまとめとこう、
ゼミの場で何をしたいと考えているかを*1
「大いなる理想論」と笑われるだろうけど...



【やっと学問らしいものに、その片鱗に触れる機会】
小学校からおそらく大学の今現在まで、
多くの学生はテストそして入試を
より高い点であるいは何とか通過する為に「勉強」し、
テスト終了とともに惜しげもなく
その記憶を消去してきたのではなかろうか。
そんな薄っぺらな「勉強」体験だけで
学生たちを教育現場に向かわせてしまうとしたら、
先人の知恵を受け継ぎ次に伝え
また新たな知を生み出す場である「大学」に居る者として、
余りな怠慢だと考える。
だから、せめてこのゼミという機会に、
テストという期限付きでない勉強体験をして欲しいわけだ。
点数のためでない、純粋な知の楽しみと探求。
予め定められた筋道などなく、
時にはまったく先の見えない計算の山と立ち向かいながら
自ら道を拓いていく、
そんな勉強体験ができたなら、
それは学問の片鱗に触れたことになるんじゃないだろうか。


【「習っていないから知らない」は滅びの前兆】
「天井が低くなった」と感じるようになって十数年、
「習っていません」を免罪符、
いや伝家の宝刀のごとく持ち出す生徒/学生が
教室を席巻するようになった。
「習ってないから知らない」を恥も外聞もなく言う生徒を
初めて受け持った頃は愕然としたものだった。
いま分析すれば、それは
「あなたが今教えようとしていることは、
私の生活に何の関係もありません。まったく興味がありません。」
そう言っているのだろう。
(だからこそ、あれほど時間と労力をかけて獲得した「知」を
 惜しげもなく消去できるわけだ。)
先人の知への異様なまでの消極性は、
そのままその国の滅びへつながる。
だからこそこの先の子供たちを育てていく、
教育現場に立つ学生自らが「習ってないから知らない」
などと言っていては駄目だ。
「知らない」のなら自ら探し求めなくては。
自ら探し求めて「知」を獲得し、
それがまた新たな「知」への興味と探求につながっていく。
そんな体験をした学生たちが教育の場に増えたなら、
あるいはこの国の滅びは避けられるかもしれない。


現実に戻せば、ゼミが一人ひとりにとって
「知」の冒険へのきっかけになればと考えている。


【「数学って面白い」そう最後に言わせたい】
自分自身、実は何度か数学をやめようと思ってきた。
が、気づくといつの間にか戻っている。
(最先端の最新鋭の数学は遠くはるかなものだが...)
山のような駄目だしされた計算の果て、
ある日ふときれいな答えを見つける。
そこにはいつも知的な興奮と感動と、ゆるぎない美しさがある。


来る日も来る日もうんざりするような計算を続け、
あるとき奇跡的に答えを導き出したゼミの卒業生は、
最後に一言「数学って面白い」とつぶやいた。
自分の手の中でちゃんと数学体験をした、
その結果出てきた言葉だろうと思う。


振り返って「数学、やったなぁ」「数学、面白かったなぁ」
そう深く感じて卒業してもらいたい、と考えている。
それは必ずその先の子供たちにつながるものだからだ。


風林火山

風林火山

*1:サントラ「風林火山」を聴きながらなので些か攻撃的にな文章になったかもしれない