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「...とする」か「...となる」か、それが問題だ、再び。

要するに、また卒論添削の季節が来たということだ。
そして今年もやっぱり、定義や仮定と結論がまるまるひっくり返ったサンプルが沢山集まった。
ひっくり返る現象は去年びっくりしたところだが、もう一つ愕然としたのが、命題の述べ方だ。
たとえば
「命題1. f(x)を最大にするxを求める。」*1


デタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!


もう、何というか、こちらの思考をことごとく破壊してくれる。
昨年が特殊な例だったのか?と思っていたが、
今年もこうして書く学生がいるところをみると真剣に考えねばならない。
一体どういう気持ちでこういった文を書くのだろう、と。
ぼや〜っと感じるに、あるいは命題と問題を同じだと思っているのかもしれない。
そして数学というものは
出された問題をひたすら解く活動なのだ
と信じているのかもしれないからだ。
実際、卒論を書くまではそういう形でしか数学に触れられないということもある。


何にしても、これ以上訳の分からない記述に付き合っていると
こっちの頭がおかしくなってくるので、
ゼミ生に以下のメールを送ってとりあえず予防線を張ってみた。

さて,特に書き始めは定義あるいは仮定なのか,
それとも命題なのか判断がつきにくいでしょうが,
命題は既に高校数Aで学んでいます.

【数学における命題の定義】
与えられた定義・仮定・条件のもとで
正しいか正しくないかが数学的に判断できる事柄を述べた文,
あるいは関係式のこと
従って,「〜である」「〜となる」「〜が成り立つ」
といった文末になるようなものが命題です.
数学の論文とは,命題を述べる為にあるのであって,
どこにも命題が出てこないならそれはただの作文です.
そして命題というものは,
必ずそれが言えるための仮定や条件や定義が必要です.
だから命題を述べる為には,
その前に十分に定義や仮定・条件を
明確に記述しておかなければなりません.
今自分が書いているものが果たしてそうなっているのか,
例えば命題として述べようとしている事柄の中に,
説明の無い記号や本人だけが当たり前と思い込んでいる仮定や条件が
入っていないかよく確認してください.
あくまで数学の主張(命題)は
「○○(仮定・条件・定義)とすると,○○(結論)となる」
という形です.よろしく.



ん〜、火に油を注ぐことにならねばいいが...
いや、みな頑張ってはいるんだけどね。
そんなこんなで、土日がぼやきながらの添削で潰れた。ふぅ...
←真赤に添削された例

*1:あ、どこがおかしいの?と思った学生諸君、よくこの続きを読んで欲しい。
因みに今の場合「命題1.f(x)はx=○○で最大値をとる。」とかだから。よろしく。