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ほれ,やっぱり写真は記憶を薄くする


「写真撮影はお断り」博物館で写真を撮ることは記憶には悪影響?
ScienceNewsline Psychologyより.

http://jp.sciencenewsline.com/articles/2013120908550007.html



以前,パイディアへの投稿読み物でも書いたけど,
初年次導入教育の可能性 ― ある数学教員の夢想 ―
ゼミや講義の板書をケータイカメラで保存したって,決して頭には残らないんだよ.
それをもう一度その後すぐに自分で再現しなおす為の記録として撮るならいいけど,
撮ったまま放っておいて,次のゼミや講義まで全く見直さないってのなら,
意味が無いんだよな.
後から見たって,その当時の議論は頭からさっぱり消え去ってしまうことが多いんだ.


とか言いながら,自分も学生のゼミの板書はいつも撮ってるんで,
説得力無いか...

...情報はどれだけ集めたところで「知」には成り得ない.
情報は「知」に至るためのきっかけに過ぎない.複数
ソースから得た情報を比較し取捨選択し,分析と抽出を
行った末やっと物事の根底にあるもの,本質に迫ってい
く道がひらける.
   しかし大学入試まで,常にセレクションに掛けられる
学習環境を生きてきた学生にとって,これらの反応はごく
自然なものだ.手っ取り早く一問一答で学習事項を憶えて
いけば,それなりの点数が付いてやり過ごしていける.
如何に効率良く記憶し,吐き出すかに自分の未来がかかっ
ている.ハイレベルの学生が集まってくるはずのある旧帝大
の先生が,「この頃のうちの学生は余り他の大学と変わら
なくなってきた.ただ記憶容量が大きくて脳内検索が速い
だけだ.」と嘆いておられたそうだ.また時間短縮の為なの
か,学生が板書をケータイカメラで写すことがある.これは
私が拘っているだけなのかもしれないのだが,初めてこの
光景に出会ったときはギョッとし,無性に腹が立ったのを
覚えている.もちろん,学生には何ら悪意はない.むしろ
効率良く,詳細に記録を保存しているつもりなのだろう.
しかし当人と長い時間議論し,ちょっとずつ黒板を数式で
埋めていった知的活動の証が,あのカメラのシャッター音で
あっという間に「情報」に貶められてしまったようで,何とも
もどかしい.もしかすると,それまで議論していた学生は,
そこで生み出される「知」にではなく,そこに書かれた
「情報」に反応していただけなのかもしれない.だとしたら
意気消沈である...
初年次導入教育の可能性 ― ある数学教員の夢想 ―
パイディアvol.11,2012/03/31 (2012) より