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沈黙という黄金

歴史の中で,人々はしばしば沈黙の価値について触れてきたようだ.
「雄弁は銀,沈黙は金」はよく聞くことわざだ.
(「その昔銀のほうが価値があったから実は雄弁のほうが価値があるという意味だ」
という説を何かで読んで違和感を感じていたものだったが,
あれこれ調べると,やはり沈黙のほうに価値があるというのが元々の意味のようだから,
ここでもその意味で話を進める.)


このところ,何をしても通用しない,という場面が増えてきた.
これまで10年近く難なく通用してきたことなのに,である.
知らぬうちに自分が変質したか,あるいは気付かぬうちに周りの変化にとりのこされたか,
おそらく実際はその両方だろう.
教採の面接練習会で「不易流行」について学生に質問したものだが,
他ならぬ自分自身「流行」が見えなくなっていたのかもしれない.
いや,「流行」を追い回し過ぎた故に「不易」を見失ってしまった,
と言うほうが正しいように思う.


お前の根っ子は何だったのか.
どうやらその問いから目を逸らせ続けられないところに来たらしい.
ここにきてようやく,である.


この10年というもの,ときどきその余りの儚さにゾッとして
見て見ぬふりをしてきたあの常に揺蕩うものに,
最も頼りにならないと重々承知していながら,全重量を載せてきたわけだ.
これまではギリギリ波乗りでしのいできたが,どうやらここまで.
20代,30代の表面上の貯金は全て使ってしまったらしい.


となると,である.
この際,海の藻屑となって消えるのも悪くはない.
だがまだ先はそこそこ残っているので,
深層にあるかもしれない鉱脈をまた丹念に探す旅を始めても良いわけだ.
つまり「沈黙」だ.海の底の貝のように.


丁度この頃は借り物の言葉ばかりを吐く自分に辟易していたところ.
のどごしの良い概念を散りばめたセールストークは,元来の自分にそぐわない.
万人ウケする玉虫色の事実を右から左に流すのは虚しい.
自分にしか見えない真実(≠真理)を愚直に探し続けることでしか,
自身の根っ子には辿り着かない.
そんなことは子どもの頃の自分のほうが素直に理解していた.


とか言っておきながら,最後にカフカの一文を引用してしまうのだね.

なぜおまえは目覚めているのだ?
誰かが目覚めていなくてはならないからだ.
F.カフカ「夜」




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