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残念な国(1)

あれこれ きょういく ものもう

まとまった主張として書けるようなものではないのだけど,日々溜まってしまうやるせなさを
ときどきは洗い流しておかないと,というシリーズ.

例えば国家的無駄遣いを止められない仕組みについて.
今の時期なら国立競技場がすぐに思い浮かぶだろう.

"ラグビー好きなひとりの思惑と文科省,その文科省から出向したJSCとが,
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアム建設予算を
アンビリーバボーな二五二〇億円にまで押し上げた.実にぼんくらな仕事ぶりである."
(下記本文より)
diamond.jp

こういったぼんくらぶりは政府外郭団体でよく見られることである.
自分の趣味に関連したJASRACの笑い話で有名なのが以下.
どうやって1000年前の人に著作権料を払うつもりだったのだろうね.
www.itmedia.co.jp

これらはいずれも文科省に関わる話題なのだが,
大学人にとって深刻なのがここ数年大学側に通達されている,
ミッションの再定義ってやつだ.これも騒がれてきた話題.
メディア的には「文学部っていらないんじゃないの?」って文科省が言ってるよってノリ.
blogos.com
哲学を失い,文学を失い,イデオロギーとは無関係な視点で
歴史を顧みられなくなった中枢がこの先なにをやらかすか,
私たちは心してよく見ておかねばならない,と改めて思った.

で,この話の出所を探ってみた.どうやらこの辺にあるらしい.
「マスコミ的」に自分の主張に都合の良い部分だけを取り上げてみよう.

だからこそ,私は,教育改革を進めています.
学術研究を深めるのではなく,もっと社会のニーズを見据えた,
もっと実践的な,職業教育を行う.
そうした新たな枠組みを,高等教育に取り込みたいと考えています.
(平成26年5月6日 OECD閣僚理事会 安倍内閣総理大臣基調演説より)

ところがこの文章の前後を含めて読むと,
この件については随分誤解されているようにも思われるのだ.
というのもその直前,CDの直径が12cmに決定された有名な理由について安倍首相は引用し,
学問をより総合的に捉えて我々は動いていかねばならないという趣旨を述べているからだ.

「エンジニアリングだけがイノベーションを生み出す」という発想を,
まずは捨てねばなりません.
社会は複雑化しています.経営学や心理学の知見,文化への造詣など,
幅広い素養が求められる時代です.
www.kantei.go.jp

一体この発言からどうやると「文学部いらない」になるのだろうか?
安倍首相を全く支持していない自分だが,
この件に関しては文科省に,正確に言えば「財務省の言いなりの文科省」に
「言質」を取られたのではないか,と思ってしまった.
つまり,発言の一部だけを抜き出して国公立大学への出費を
更に控える口実にされてしまった,ということだ.

まぁもっとも震災後オリンピック誘致で,汚染水ダダ漏れなのに
福島原発が"The situation is under control."とシャァシャァと言える舌だから,
実際のところその真意は分からない.

それは例えば18歳選挙権引下げをごく短期間に成立させた真の狙いは,
政治的中立性逸脱時の教職員への罰則規定が表す「圧力」にあったのか,
という勘繰りと似たような事態だ.
www.sankei.com

それにしてもなぁ,矢継ぎ早に政府が成立させていく仕組み,
たとえ政府自身にその気が無かったのだとしても,
ファシスト的な団体が潮流に乗ってふと台頭したなら,
実に支配しやすい仕組みを整えつつある,
と思えてならないのが杞憂であってほしいな.
ただでさえ全体主義的なものに流されやすい国民性なのだから.

ぼくらの民主主義なんだぜ (朝日新書)

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