【問1】報道ステーションが去る6月に憲法学者ら198人にアンケートをとり,151人から回答を得た.その第1問,「一般に集団的自衛権の行使は日本国憲法に違反すると考えますか?」について,151人中4人が「憲法違反の疑いはない」と答えた.
この結果から日本全体の憲法学者のうち何%が合憲と判断するか信頼度99%で区間推定して下さい.
これは今年度の「統計とコンピュータ」にて出題した最終チェック問題の一つだ.
母比率の推定を行え,という問題なわけだが,まぁその答えは
となる.実際は数学的な前提,「確率変数」(この場合は憲法学者一人一人の回答)
が互いに独立である,つまり
「憲法学者たちが互いの意見に影響されず独立に判断していること」が必要だ.*1
その前提が満たされているとするなら,この国の憲法学者ら全員に尋ねても99%の確率で
高々6%が「合憲」と判断するという意味になる.
もちろん,いま目の前で異常なことが起こっているんじゃないかぃ,
と学生らに気付いて欲しいという意図アリアリで出題したのだけど,
そもそも肝心の問題に手を付けてもらえていなかった,それこそ高々6%も無いくらいに.
合掌.
しばしば有識者と呼ばれる人たちが政府に招かれ,述べた見解を「参考」にし,
ときには政府方針補強に利用されるわけだけど,
自民推薦の有識者含めた3者全員から「違憲」と批判されて以来,
憲法審査会は結局開かれなかったのだよね.こうして臭いものには蓋をしちゃうんだね.
web-saiyuki.net
PKO法案ですら数回の国会をまたいで議論され,
そうして「まがりなりにも」時間を掛けたことで,
ある意味その歴史的転換に国民も参加できていたのだが,
閣議決定されてからわずかひと月余りのうちに成立した「特定秘密保護法案」にはじまり,
いよいよこの9月中旬に参議院可決されてしまうであろう話題の安保法案という具合に,
「丁寧な説明」を行い,「粛々と」ことを進めていくわけだ.
そして「説明」という時点で「国民とは対話はしないよ」とも言っているだよね.
まぁしかし,これほどまでに大事な転換点に主権者たる国民を正面から参加させないやり口に,
息の軽い,哲学の無い,筋を通さない政治に,多くの人が憤っているのは確かだ.
生きる場所と考える自由を守り,創るために,
私たちはまず,思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない.自由と平和のための京大有志の会「声明書」より
先の大戦前夜,世界恐慌によって国は困窮し人々は不景気に喘いだ.
活路を見出すべく,国粋主義,全体主義がこの国を覆った.
「ネトウヨ」と呼ばれる人たちの書き込みを見る度,
あの大戦前夜もこんなふうに閉塞し鬱屈した空気だったのかもしれない,と
とても嫌な暗い気持ちになる.
反知性主義が蔓延って久しいこの国で,
憲法学者らによる政治イデオロギーから独立した
純粋に学問的観点からの指摘が最後の灯だった,
となってしまいませんように.
合掌.
そもそも国政は,国民の厳粛な信託によるものであつて,
その権威は国民に由来し,その権力は国民の代表者がこれを行使し,
その福利は国民がこれを享受する.
これは人類普遍の原理であり,この憲法は,かかる原理に基くものである.
われらは,これに反する一切の憲法,法令及び詔勅を排除する.日本国憲法 序文より
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*1:テクニカルな要請として「サンプル数×標本割合≧5」が必要だけど,いまの場合4なのでちょっと足りなかった.