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残念な国(10-c)―それは地球市民のための憲法だった

日本会議的改憲へのアリバイ作りのための選挙が終わった.
案の定の結果は平成版大政翼賛会発足の前夜祭でもあろう.
早速,野党勢力の発言力を抑え込む動きが始まった.
与党と政府が一体であるような仕組みにおいてこそ,
意見を違える人たちへのより丁寧な対話(断じて「丁寧な説明」ではない!)が必要だというのに.
www.asahi.com

麻生君など,勝てたのは北朝鮮のおかげだ,などと仰っておられるそうで.
まぁ安倍君とその仲間たち同様,調子に乗ってつい本音を語ってしまうイイヤツなのかもしれない.

「明らかに北朝鮮のおかげもありましょうし,
いろんな方々がいろんな意識をお持ちになられたんだろう.
特に日本海側で遊説をしていると,つくづくそう思った.」
2017/10/26 議員パーティー

www.sankei.com

しかしこれでまた,聞かれたことに答えず,聞かれてないことを滔々と喋る御スガタが拝めますね.
そうそう,「枯れ草の山に火を点けたかのようにぺらぺらと」って誰か書いてたっけ.
あ,野党の質問時間短くなるからそれも減ってしまうか.

 この数年間,安倍晋三という人の印象はただただ喋(しゃべ)るということだった.
枯れ草の山に火を点(つ)けたかのようにぺらぺらぺらと途切れなく軽い言葉が出てくる.
対話ではなく,議論でもなく,一方的な流出.機械工学で言えばバルブの開固着であり,
最近の言い回しを借りればダダ洩(も)れだ.
 安倍晋三は主題Aについて問われてもそれを無視して主題Bのことを延々と話す.
Bについての問いにはCを言う.弁証法になっていないからアウフヘーベンもない.

www.asahi.com

ダダ洩れ.あぁ,そうだったね.
あれから何度も漏れてたけど,"The situation is under control."と言いきってたもんね.
www.kantei.go.jp



選挙のとき決して安倍君は改憲話に決して触れなかったけど,実際は日本会議的改憲への布石.
もちろん改憲そのものはすべきところはすべきだろう,と改めて思っている.
実質的に立法と行政が一体となってしまっているこの国において,
枝野君の云う「解散権制約」はもっともな点だ.
www.sankei.com
しかし,何より日本会議的改憲だけは何としても避けたい.
実質的に日本会議改憲草案である自民党改憲草案では「個人」から「個」を奪う,
つまりは個人の尊厳を保障しない.
大日本帝国憲法を彷彿とさせるこの変更が何より恐ろしい.そんなことをちょっと前に書いた.
tokidoki.hatenablog.jp
そしてそれに呼応するように憲法前文が書き換えられる.実に軽い,稚拙な前文に.
tokidoki.hatenablog.jp
なぜなら,現行憲法の根幹である三原則を書き換えるからであり,
「個人」の「個」を取りたがるのは明治時代の家父長制を復活させたいからに他ならない.
それが日本人本来の姿なのだと信じて疑わない人たちによる案だから.

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「あたらしい憲法草案の話」より

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安倍君は現行憲法を「みっともない」と言い切る.
だからこそ,立て続けに「特定秘密保護法案」や「テロ等準備罪」が
憲法など無きが如き傍若無人なやり口で成立できてしまった.
www.asahi.com
安倍君は例の軽口で「押し付け憲法」と言い切る.
そして政治家が何かを言い切るときこそアヤシイことは"under control"発言を思い出せばいい.

GHQ草案には「平和」の文字は無かった.
戦力不保持という消極的原案に対し,先人たちの並々ならぬ尽力によって
「国際平和を誠実に希求」するという形での積極的平和主義へと漕ぎ着けたのだった.
他ならぬ日本人自身の手によって確かに作られた憲法なのであった.
www.nhk.or.jp
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現行の憲法前文は理想論だ.しかしそれはとてつもなく偉大な理想論だ,と思う.
日本国民に対しての進むべき道が書いてある,というより
もっと全地球的な,地球市民が目指すべき道が書いてあるのだ.
そういった意味で現行憲法は世界でもなかなか特異なものだとも思う.
このゴツゴツとした,訥々とした,しかし誠実な前文は,
いつの日か世界が共有してしかるべきもののように思うのだ.
もう一度書くけれど,日本会議草案の「学級目標憲法」とは,
その広さと奥行と深さにおいて全く次元が違うのだ.
tokidoki.hatenablog.jp

だから安倍君の云う「ウツクシイ クニ」は「ニクイシ クツウ」,まっぴらごめんなんだよ.

新しい国へ 美しい国へ 完全版 (文春新書 903)

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日本国憲法 前文


日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し,
われらとわれらの子孫のために,諸国民との協和による成果と,
わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し,
政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し,
ここに主権が国民に存することを宣言し,この憲法を確定する.
そもそも国政は,国民の厳粛な信託によるものであつて,その権威は国民に由来し,
その権力は国民の代表者がこれを行使し,その福利は国民がこれを享受する.
これは人類普遍の原理であり,この憲法は,かかる原理に基くものである.
われらは,これに反する一切の憲法,法令及び詔勅を排除する.
日本国民は,恒久の平和を念願し,
人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて,
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,
われらの安全と生存を保持しようと決意した.
われらは,平和を維持し,専制と隷従,圧迫と偏狭を
地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において,名誉ある地位を占めたいと思ふ.
われらは,全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,
平和のうちに生存する権利を有することを確認する.
われらは,いづれの国家も,自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて,
政治道徳の法則は,普遍的なものであり,
この法則に従ふことは,自国の主権を維持し,
他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる.
日本国民は,国家の名誉にかけ,
全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ.

もう一度書いておこう.

 山は樹を以て茂り
 国は人を以て盛なり
       吉田 松陰

個人の存在根拠を国が認めないのなら,やがてその国は亡ぶと思う.