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追いかけてきたもの

今年の免許更新講習では「小学校にプログラミングが導入されること」に託けて,Scratch プログラミングを行うことにした.

プログラミング自体はもう15年以上担当している.
私が学生に求め続けてきた,あるべき学びの姿がこの講義に凝縮できる可能性があるからだ.
これまでも「内発的動機付けに基づいた学び」といった形で,当講義の様子を学生の作品紹介を通じて報告してきた.
tokidoki.hatenablog.jp
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もちろん昨年度後期においても,更に進んだ作品が幾つも作られた.

課題2:シューティングゲームを作れ から

課題3:算数数学を素材とした教材やゲームを作れ から

最終課題:自由に作れ から
アルゴゲームなんだけど,壮大なオープニングから始まる.
しかもコンピュータもきちんと手を考えるようになっている.

初めてScratchでプログラミングというものに触れてわずか半年でここまで到達してしまった.

その一方で,半年かけて何度も何度も何度も繰り返し伝えても,全く歩留まりの悪かった講義を前回紹介したところだ.
tokidoki.hatenablog.jp

この違いは何だろうか.
やはり内発的動機付けが上手くできたかそうでなかったか,が勝敗を決めている.
Scratchプログラミングでは内発的動機が生まれやすく,統計とコンピュータではそれが全く生まれなかった,ということだ.
そして何より,これらを教える私自身の心的背景が事を決めている.
子供のころからプログラミングなんて見よう見まねで学んできたので(ネットなんて夢のまた夢のその当時はZ80系マシン語とN88-BASICだった),どのように学生らをプログラミングの世界へ導けば効果的なのかが良く分かる.
その一方,統計学はそれこそ教える羽目になってから学んだに近い.明らかに外発的動機付けだ.

Scratchの開発者,Resnick はまさに私が教育の場においてやりたいことを実現してしまっている.

そして,免許更新講習資料作りをしているうちに,Scratch HP に Resnick の教育コンセプトがバッチリ書いてあるのを見つけた.
それは私がずっと追いかけてきたもの,そのものだった.ここに引用する.

【原理】
若者に創造的に考え,体系的に考え,協力して作業する能力を与えるためにScratchを作り出しました.Scratchでは,新しいツールやテクノロジーを開発する際に皆さんが従うよう期待されており,学びの原理とデザインの原理(4つのP)が,我々を導いてくれます.


【学びの原理】
・ プロジェクト(Projects)
人はプロジェクトに積極的に取り組んでいる時にもっとも良く学びが得ることができます.— 新しいアイディアを生み出し,プロトタイプをデザインし,改良を施し,そして最終版の作品を創作します.

・パッション(Passion)
人は興味のあることに集中する時,より長く熱心に取り組み,課題に直面しても根気良く続け,その過程でより多くのことを学びます.

・ピア(Peers)
人々がアイデアを共有したり,プロジェクトで協力したり,お互いの仕事を積み重ねて学びは社会活動として栄えます.

・プレイ(Play)
学びには遊び心のある実験が含まれています.—それは, 新しいものを試すこと,教材をいじり回すこと,限界を試すこと,リスクを冒すこと,何度も繰り返すことです.

scratch.mit.edu

人を伸ばす力―内発と自律のすすめ

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