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バランスをとる数(1)―入り口は1+2=3

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いまや当大学における絶滅危惧レッドリストの筆頭に挙げられる数学同人Sigmaでのある一幕.
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久しぶりに教育実習から返ってきたメンバーが「実習中にこんなこと見つけた」と鼻息荒く話していた話題なんだが,それは例えば
\[1+2=3\]\[4+5+6=7+8\]\[9+10+11+12=13+14+15\]\[16+17+18+19+20=21+22+23+24
\]といった連続整数の和についての等式だった.つまり一般に
\[
\displaystyle\sum_{k=0}^a (a^2+k)=\sum_{k=a+1}^{(a+1)^2-1}(a^2+k)
\]ということだ.あるいは
\[
\displaystyle2\sum_{k=0}^a (a^2+k)=\sum_{k=0}^{(a+1)^2-1}(a^2+k)
\]と言い換えても良い.そしてこれは任意の自然数aについて確かに正しいことが計算すれば分かる.



さて,本当の遊びはここからだ.では一般に
\[
\displaystyle2\sum_{k=a}^x k=\sum_{k=a}^b k
\]となるような自然数a\le x\le bの組はどんなものだろうか?計算すれば
\[
2(x-a+1)(x+a)=(b-a+1)(b+a)
\]すなわち
\[
2(2x+1)^2=(2a-1)^2+(2b+1)^2
\]となる.X=2x+1,A=2a-1,B=2b+1と置けば奇数A,X,Bの組で
\[
A^2+B^2=2X^2
\]を満たすものを探せということになる.あるいはs=\frac{A}{X},t=\frac{B}{X}と置けば,
\[
s^2+t^2=2
\]を満たす有理点(s,t)で,分母分子共に奇数になっているものを探せ,ということになる.


そこでとりあえず有理点(s,t)を探すわけだが,例えば(s,t)=(\pm1,\pm1)などがすぐ見つかる.
図形的に見やすい(-1,-1)を足がかりに,有理数m>0を傾きとする直線 t=m(s+1)-1s^2+t^2=2 の交点を考えよう.
すでに(-1,-1)が交点,すなわちこの二式の連立の解なので,2次方程式
\[
s^2+(m(s+1)-1)^2=2
\]は(s+1)で括られ,残りの解が
\[
\displaystyle s=\frac{1+2m-m^2}{m^2+1},t=\frac{m^2+2m-1}{m^2+1}
\]と得られる.あとはm=\frac{q}{p}と既約分数で表示したとき,s,t共に\frac{\text{奇数}}{\text{奇数}}となっているかを確認すればよい.計算すると
\[
s=\displaystyle\frac{p^2+2pq-q^2}{p^2+q^2},t=\frac{q^2+2pq-p^2}{p^2+q^2}
\]となり,p,q いずれか一方のみが奇数なら分母分子共に奇数,p,qいずれも奇数ならば
\[
p^2+q^2\equiv p^2+2pq-q^2\equiv q^2+2pq-p^2\equiv 2\pmod{4}
\]となるため,約分すればやはり分母分子共に奇数と分かる.


こうして任意の有理数mに対する組(s,t)が求めるもの全てとなり,更にp,qいずれか一方のみ奇数ならば
\[
A=p^2+2pq-q^2,B=q^2+2pq-p^2,X=p^2+q^2,
\]p,q共に奇数ならば
\[
A=\displaystyle \frac{p^2-q^2}{2}+pq,B=\frac{q^2-p^2}{2}+pq,X=\frac{p^2+q^2}{2}
\]と得られる.


もっとも,元の問題に立ち戻れば自然数和を考えていたので,
\[
A=p^2+2pq-q^2=(p+q)^2-2q^2\ge 0
\]\[
B=q^2+2pq-p^2=(p+q)^2-2p^2\ge 0
\]という条件,すなわち
\[
(\sqrt{2}-1)p\le q\le (\sqrt{2}+1)p
\]がp,qに課されている.例えばこの条件下にあるq=p+1ならば,
\[
A=2p^2-1,B=2(p+1)^2-1,X=2p^2+2p+1,
\]すなわち
\[
a=p^2,b=(p+1)^2-1,x=p^2+p
\]となって,冒頭の学生が発見した等式に戻る.

また(p,q)=(3,5)とすると(A,B,X)=(7,23,17)すなわち(a,b,x)=(4,11,8)となり,新たな等式
\[
4+5+6+7+8=9+10+11
\]が見つかる.あるいは(p,q)=(4,7)とすると(A,B,X)=(23,89,65),すなわち(a,b,x)=(12,44,32)となって,別の新たな等式
\[
12+13+\cdots+32=33+34+\cdots+44
\]が得られる.q=2pも条件下にあり,このときは
\[
A=p^2,B=7p^2,X=5p^2
\]と綺麗な形になり,奇数pに対して新たな系列
\[
a=\frac{p^2+1}{2},b=\frac{7p^2-1}{2},x=\frac{5p^2-1}{2}
\]が得られる.



使っているのは高校数学程度なんだが,結構面白い.
おやおや,なんだかミイラ取りがミイラになりかかっているぞ...