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あいちトリエンナーレ2019―第1次調査 豊田駅編

aichitriennale.jp

さて,豊田散策の続き.今度は豊美を出て街中アートへ.
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豊美に隣接して旧豊田東高校跡地があるのを知らなかったのだが,そこに巨大な作品がある.
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(豊美T-09b)高嶺格/反歌:見上げたる 空を悲しも その色に 染まり果てにき 我ならぬまで
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これは使われなくなった高校のプールの底を切り出して垂直に建てるという,ほとんど土木工事のような作業によってできている作品だ.
しかし,これを実際に目の前にすると圧倒される.
何でも高さは9m.そう,トランプウォールと同じ高さだ.
はるばるユートピアを目指して何百キロも歩いてきた先にこの壁が立ちはだかっていたなら,どれほどの絶望に叩き落されることだろうか.
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裏はこんな感じ.やはり巨大建造物だ.
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それでこの短歌なのか.
「見上げたる 空を悲しも その色に 染まり果てにき 我ならぬまで」
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順番が前後するけど,先にシティープラザ.
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(豊美T-03b)和田唯奈(しんかぞく)/レンタルあかちゃん
参加する体験型の作品なのだけど,オジサン一人では参加しづらく,参加しなかったよ,ゴメン.
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そして同じ作家の作品群へ.
ただ,見る順番を終いからにしてしまったために,意味がつながらず,跡から振り返って意図が分かったよ.

(豊美T-02c)小田原のどか/↓ (1923−1951)
公共彫刻というものについての学術的考察.
それは社会の変遷を記録するものだったり,その時代を集約・象徴するものだったり.
豊美のレニエール・レイバ・ノボの作品はフィクションだったけど,こちらは日本の近現代を表象したものだ.

公園にふと建てられた"演説台"とも思えてしまうこの台,時代の変遷とともに様々な彫刻がこの上に設置され,またされていく,という想像を引き起こす仕組みだ.
とはいえ,この台を見ただけではそんなことは分からない.豊田駅内にあるこの作家による資料を読まなければ.
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で,駅内に進むとネオンの作品.

(豊美T-02b)小田原のどか/↓ (1946-1948)
これも,これを見ただけでは意図は分からない.
跡の資料を読むと,これは長崎の原爆の爆心地に1946-1948の間だけ置かれていた,矢の形をした標識を象ったものなのだそうだ.
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で,これらのもとになる資料を集めた展示が
(豊美T-02a)小田原のどか/↓ (1946-1948 / 1923-1951)
なのだが,webにこの作家による投稿記事があったので,それを参照しよう.
artscape.jp

それから,「表現の不自由展」の事の顛末を冷静に学術的に分析した非常に興味深い彼女の記事も見つけたので貼っておく.
bijutsutecho.com


さて,最後に小難しい理屈はこれまでにして,トリエンナーレには必ずあるナンセンスもので締めくくろう.

(豊美T-01)トモトシ/Dig Your Dreams.
ラーメン屋が入っていたという店舗の跡地で豊田市民を巻き込んで発掘をする,というプロジェクト.
で,↓が発掘後の地面なのだけど,何か気付くかな?
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ええ,トヨタのエンブレムの一部なんですわ.
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そう,この豊田市は縄文の時代からトヨタがあったのだ,というフィクションのもと,市民が掘り進めていくと土中からトヨタに纏わる品々が出土する,という仕組みだ.
出土物はこんな感じ↓
トヨタのマーク入ってるでしょ.
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で極めつけが↓
こんなんも出土したと...
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この一連のプロジェクトの様子が1時間ほどの映像として放映されていて,あまりのバカバカしさに全部見てしまったわ!
こういう,大真面目に馬鹿をやる作品ってトリエンナーレごとに1つ2つあるけど,実は好き.

このほか,映像作品はいくつかあったけど撮影はしなかった.
特に喜楽亭にあった作品(豊美T-04)ホー・ツーニェン/旅館アポリアは音響によってわざと障子や窓が揺れるようにできていて,会場の暗さと古さと相まって,戦時中の息苦しさがとても伝わる作品だった.

さて,これで全会場を見て回った.
会期末頃にもう一度名古屋界隈を巡回しよっと.