なんだかこの年末年始のような雰囲気は,改元に伴うものであるのだけど,
こうして雨模様が続くのは,陛下が水の専門家だからなのでしょうか.
多くの日本人が「新しい時代」を期待し,気持ちを新たにしている.
どこか昭和の後始末に終始した感のある時代に,
そして縮みゆく経済の中,再びこの国が閉塞感に覆われている昨今に,
あるいは区切りをつけたい,という深層にある願いも込められているのかもしれない.
前陛下の退位にあたって,ちらりとタイトルの言葉を久しぶりに最近メディアで耳にした.
そうだ,美智子様がその昔に発せられた,あの言葉,IBBYにおける基調講演からの一節だ.
そして最後にもう一つ,本への感謝をこめてつけ加えます.
読書は,人生の全てが,決して単純でないことを教えてくれました.
私たちは,複雑さに耐えて生きていかなければならないということ.
人と人との関係においても.国と国との関係においても.
第26回国際児童図書評議会(IBBY)ニューデリー大会(1998年)基調講演
「子供の本を通しての平和ー子供時代の読書の思い出ー」から
「複雑さに耐えるということ」
いま風に言えば,ダイバーシティー,多様性を受け入れるということ.
価値観の違いを互いに乗り越え,存在を認め合うということ.
けれど多くの国々の舵取り役たちは,その複雑さに耐えられない,
あるいはあえて耐えることをせず,単純に割り切ることを進んで選んでいる.
tokidoki.hatenablog.jp
そしてご多分にもれず,この国も.
tokidoki.hatenablog.jp
「こんな人たちに皆さん,私たちは負けるわけにはいかない」と,
同じこの国に住む日本人をいとも簡単に切り捨ててしまえる政治家トップの単純さ,
目の眩むような複雑さを孕んだこの世界で,
「この道しかない」と断言できてしまう単純さは,
やはりこの先も大方の日本人に支持され続けるのでしょうか.
その結果,そうした単純化のしわ寄せを我々はこの先も甘受し続けねばならないのでしょうか.
我々は「しわよせ」ではなく「しあわせ」を望んでいるはずなのだけど.
この国を覆っている閉塞した空気.
かつてのような,あの皆が同じ方向を向くよう仕向けられる空気は,
「和」をモットーとする国民性に簡単に馴染んでしまう.
どうか,この世界の複雑さを都合よく覆い隠してしまいませんよう,
多様な存在が多様なままで居られる国でありますように.
- 作者: 美智子
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