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新入生の気持ちをテキストマイニング

初年次演習なる大体全国の大学に導入されるようになってきた講義から.

本日第一回を行って,Google Formにてとりあえず気持ちのアンケートを取ってみた.

  • 問1.小学校から高等学校までの教室での授業(校内を含む)の中で最も印象に残っている良かった授業について1 つ以上,それが良かった理由や好きになったきっかけは何だったか?
  • 問2.小学校から高等学校までの教室での授業(校内を含む)の中で最も印象に残っている嫌いだった授業について1 つ以上,それが嫌いになった理由やきっかけは何だったか?
  • 問3.あなたが大学の講義に望むこと,期待すること,求めることは何?

これら記述式の内容54人分を集め,最近お気に入りでよく遊んでいる,User Localで使わせてくれるフリーのテキストマイニングにかけてみた.
www.userlocal.jp

2種の文章データを対比させてマイニングしてくれるので,問1と問2を対比させてみた.
Aが好きだった授業,Bが嫌いだった授業.
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好きな授業では学生の能動的関わりが現れるのに対し,嫌いな授業では受動性をもたらすような単語が並ぶ.おやおや,なかなか見事な結果だ.まさにR. deCharms の唱えるところの「自己原因性」が必要なんだってことだし,E.L.Deci が示したように「内発的動機づけ」が重要なんだってことだ.

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問3.の大学講義に望むことについてはどうだろう.
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やはり教員養成大学.一番に「教員」が出てくる.
そして実用志向がある一方で,深く学びたいという声も聞こえてくる.

ホント,この時期の新入生は良い.やはり希望に満ち溢れ,活き活きとしている.
彼らの学びのモチベーションがどうすれば維持されるのか.
教育システムに,そして我々に常に課せられている仕事のはずなんだ.
はずなんだけどね.

人を伸ばす力―内発と自律のすすめ

人を伸ばす力―内発と自律のすすめ

美術館はしご―シャガール→ミュシャ→はしもとみお展

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先週に引き続き,美術館探訪.

まず名古屋市美術館ではシャガール展.
ただし,今回面白いのはシャガールの三次元作品たちがテーマだったこと.
けれどいわゆる彫刻というよりは絵画の延長のような,レリーフのような作品.
シャガールの世界はあくまでも絵画的であって,そしてコラージュ的だ.
今回発見だったのはコラージュ作品を重ねるうちに
シャガールは時間もコラージュしていったのだということ.
だからシャガールの作品は時間軸まで含めた四次元的なんだってこと.
絵画なのにね.
いや,四次元から見た最も美しい物語風景を二次元に射影した,
ということなのかもしれない.

次に株主優待を使ってのミュシャ展@松坂屋美術館.
ミュシャは何度も見てきたけれど,
あの美しい女性たちの原点となる若き日の作品が見られたのは興味深かった.

そうして最後にヤマザキマザック美術館にて,はしもとみおの動物の木彫り作品.
ヤマザキマザックコレクションのアール・ヌーヴォ―の調度品たちに溶け込む木彫りの動物たち.

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そうそう,絵画もあった.
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彫ることが頭にあるから,解剖学的によく観察している.


高級ベッドで遊ぶ木彫りの猫たち.
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織り目の在りか(現代美術 in 一宮)

卒論発表会翌日,漸く会期末の「織り目の在りか-現代美術 in 一宮」へ.
これ,次期愛知トリエンナーレに向けてのArt展.
そういえば一昨年の愛知トリエンナーレもそれに先駆けてArt展やってたよね.
tokidoki.hatenablog.jp

この一週間ばかり微熱が続くなか,電車に飛び乗り一宮へ.
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三上 俊希:呼吸シリーズ
一宮駅構内の展示.
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バス一日乗車券を買って旧林家へ.
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杉山 卓朗氏の作品群.
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何だか素敵だったので,何となく撮った窓.
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宮田 明日鹿氏の作品群.
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そうそう,映像作品だったから撮らなかったけど,
小川 育氏のストップモーションアニメーションがなかなか「神経にクル」面白い作品だった.
おっと,Youtubeに一部置いてあるね.

「I Wanna Be Your Friend」(小川 育 / Iku OGAWA)
今度のトリエンナーレにも出展しないかな.

再びバスに乗って,墨会館へ.
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こちらでもまだ,三上 俊希:呼吸シリーズ
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再びバスに乗ってオリナス一宮へ.

松本 崇宏:閉じて揺れて
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ここ,建物自体がなかなか素敵.
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子どもたちとの共同作品も.
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二階に上がると,面白作品たちがあった.

百瀬 文:Here
部屋自体の絨毯,椅子,観葉植物がみな作品で,
さらにこの電話番号にかけると哲学的な応答メッセージが返ってくる.
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姫田 真武:ようこそぼくです4
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トリエンナーレに必ず一つや二つはあるナンセンスモノ(失礼).
Eテレ歌のお兄さん的なノリのアニメーション作品.
ここで流れた「レッツコリツ」はちょっと癖になった.
もう一度見れないものかと探したら,ネットにあるある.
vimeo.com

一回りして一宮駅へ.上の階にも三上 俊希:呼吸シリーズ.
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いずれもILCE-6000+SEL35F1.8OSS and SEL1670ZF4.0, Lightroomにて現像

次回愛知トリエンナーレは2019.どんな雰囲気になるかな.

ようやく卒論審査会 in 2018

今年度もようやくここまで来ました.
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タイトル,一人だけまだ決まってないとき.


緊張の本番開始.
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結構うすい環(わ)ぁ,土星の環
―重力ポテンシャルを利用した惑星環形成のモデル―

土星などの惑星環が薄く形成されてしまう理由を簡単な力学だけで説明を試みたよ.


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タネト――ク
―カードマジックを離散力学系で読み解く―

カードシャッフル・トリックにまつわる数理的現象を離散力学系として分析した.その場でマジックをする初めての試み.


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matrix( 母 ) をたずねて三次元
―高次元ピタゴラス数のネットワーク―

ピタゴラス数を産む有名な行列の話を3次元にも拡張できないか試みた話.今回は3次元にお母さんは見つからなかった.果たして3次元以上にお母さんはいるのだろうか?


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効率ファースト
―待ち行列を用いたより効率的なレジ待ち並びの提案―

待ち行列理論をレジ待ちに適用した.あんなに苦労した不等式評価がさらっと登場しただけなんだけど,発表するとやはりそうなるのかな.


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ゼミ友学園
―研究室マッチング問題,忖度を添えて―

色んな意味でブラックジョークを交えて,1対多マッチング理論とその応用.Scratchによるアルゴリズムの提示を今回初めてやってみた.


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ゼミの中心で「あ~」と叫ぶ
―線形予測を用いた sin 波の合成―

Excel VBAも使わず,ほとんど手作業で線形予測による母音の合成を行うという力作.いやホント,合成が間に合ってよかったよ.ちゃんと「あいうえお」って聞こえたし,ね.


うん,何とかなった,今年も.皆の者,乙.



他のゼミの発表を見て改めて考えさせられる点,多々あり.
徐々にうちのゼミも下学年に「分かった気にさせる」方向を取ってきたのだが,
果たしてそれをどこまですべきなのか,ということだった.
つまりこれら発表が「誰」あるいは「何」に対して行われるべきか,ということだ.
他ならぬこれは「卒業論文審査会」であって,ゼミの宣伝会ではない.
審査員向けの研究発表が本題であることに変わりはなく,
その点に真摯に向き合っているかどうか,は守らねばならない点だ.

しかし一方で下の学年の勉学への意欲向上につなげる,という目的もこの審査会にはある.
(と思ってたけど,そう?)
分かりやすいところ,受けの良いところだけを掻い摘んで発表するスタイルも,
真の研究内容の誤解を招かない範囲で行われても可,とも思える.
分からない話が延々と続くのであれば,彼らの意識も持たない.
ちょいちょい下学年向けの小ネタを挟みながらのトークも必要悪なのかもしれない.
さて,ではどうあるべきだろうか?

下学年には悪いのだけど,表面だけ「分かったつもり」になってもらうこと目指しながらも,
(それはきっと十分な間をかけて研究動機を語ることなのだろう)
分かっている人が見れば研究内容の本質がちゃんと語られている,
そんなプレゼンが落としどころなんだろうかね,という気になってきた.
この辺りのバランスが難しいし,教員目線だけでは分からないところだったりする.
ああ,でもそうだな,自分だったらこのネタ,どうプレゼンするかな,って思えば行ける気がする.

どちらにしてもそろそろBeamerを超えた,視覚に訴えるプレゼン道具が必要に思えた.
(え,なに,結局keynoteが羨ましい,という話かい?)


って,何とか終わって,う・ち・あ・げ!
でも,2年の世話人だったので開始から1時間遅れで参加.
そうそう,3年とそして去年卒業の11代目もゲスト参加.
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で,口上と共に飲み会の場でいただいたのが,
若かりし頃(1年半前)の彼らの写真の入ったマグカップ,
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から~の,ど~ん.

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ま,散々,九平次九平次ってゆうてたからね,ゼミ中に.
あざっす!

九平次とブルックナーと,そして卒論添削

今年の暮れも,例年の如くゼミ生の卒論添削で年を越す.
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こうして手直しをする中,結構面白い発見をする.
例えばピタゴラス数を生成する行列の話は,
ピタゴラス数を2パラメータで表示するとき,そのパラメータが動く空間と
原始ピタゴラス数全体のなす空間の関係は,
パラメータ(2,1)を始対象とし,射を(1,1)(2,0)とする圏と
原始ピタゴラス数を含む圏との関手\Phi_2を観察してるに他ならないことだとか,
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カードマジックで有名なGergonneトリックは一度論文にしたけれど,
Generalized Gergonne's Trick and its Continuous Approximation
いま一度卒論ネタにしてまとめ直すと綺麗に書き直せることとか.
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まぁ,何にしても年末,
すき焼きとネットでわざわざ注文して手に入れた九平次(雄町!)の取り合わせを楽しんでから,
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昨年同様,遥か遠く高校時代に衝撃を受けた
マタチッチ指揮のN響によるブルックナー8番を聴きながら,卒論の添削で年を越すのだ.

ブルックナー:交響曲第8番

ブルックナー:交響曲第8番

  • アーティスト: ロヴロ・フォン・マタチッチ,NHK交響楽団
  • 出版社/メーカー: 日本コロムビア
  • 発売日: 2011/03/23
  • メディア: CD
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悪くは無い.むしろ誰の為でもなくある種の芸術活動として没頭できるこの時間は
おそらく誰にも理解されないであろう,私だけの幸福のひと時である.