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動機づけの内在化への新たな挑戦-中間報告-

動機づけの内在化への新たな挑戦 - 遊び tokidoki 仕事で告知したように,
大学生の学びへの内発的な動機を如何に復活させるか,
を真のテーマにして行っているプログラミングの講義.

シューティングゲーム作りまでは,比較的多くの学生に受け入れてもらえたように見える.
つまり仮想的に与えられた外発的動機をいくらか内在化させて課題に挑んでくれた.
その結果は,学生が提出してきた趣向溢れるシューティングゲームたちに現れている.

しかしここ3回ばかりはもうちょっと精密にアルゴリズムを考えよう,という趣旨で,
そしてちょうど高校数学Aで互除法も登場するから,という理由もあり,
整数の話題でプログラムを組んでもらっている.
素数を探すとか,約数の個数を数えるとか,素朴な話題ではあるけど,
やはりゲームに比べるとテンションは下火だ.
3回目の話題は互除法がテーマ.Scratchならビジュアルに互除法が提示できるので,
早速作って見せてみた.(まぁ,反応は...推して知るべし)
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実際の実行は↓にて(Shift+緑旗:ターボモードでないと超遅いので注意)

整数の性質に関するアルゴリズムの話のついでに,Project Eulerを紹介した.

翻訳版は→Project Euler - PukiWiki
数学的なプログラムの問題集で,世界中から参加し挑戦しているそうだ.
その第5問が「1から20全てで割り切れる最小の整数を求めよ」と,
ちょうど今回の話題にぴったりだったので,話に出したのだった.
(もちろん,素因数分解すれば分かる話だが,これをプログラムで解く,というのが本題だ.)

で,嬉しかったのがこの後.講義が終わった午後,
一人の学生が「出来ました」といってプログラムを送ってきたのが↓
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なんとなんと.てっきり互除法でやってくるかと思ったら,
全く想像していない別の発想,そして,とてもシンプル!
もちろん,しらみ潰しに全部の数に当たっていくため,
互除法利用に比べるとずっと遅い.
遅いのだがこの解法,味がある.


プログラミングをずっと担当してきて
時々こういったとてもユニークな発想をする学生に出会う.
いわゆる勉学,数学方面ではパッとしない学生でも,
プログラミングに異常に強いという学生はたまに見かける.
そしてそういった場面に出くわす度,
「人を評価する」という行為は,実に,実に難しいものだと痛感する.
そうして大概の人は他人が貼るレッテルに乗っかってしまって,
自分の本来的な力を封印してしまうものなのだ.
だから指導する側は本当にしっかりと目を見開いて学習者を観察せねばならない.

さて,自分はScratchという大変楽しい道具に出会った.*1
次回からはScratchで図形描画.勢い余って,GC的なものを作ってみた.
意外とできるもんなんだ,Scratchで!
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実際のScratchプログラム↓

*1:実はごく最近,もう一つ楽しい道具に出会った.そしてそれはこれまで幾度か試みながらもやれずにいたことだ.現在ではGenerative Artと呼ばれている世界.そこへ容易にアクセスできる道具を見つけてしまったのだけど,それはもうちょっと修業を積んでから.いつか公開.

お試しピザパ

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ってことで,ひっさびさにA-girlsでイベント.

何しろこの頃は普段の卒論三昧に加え「勝手に新規」授業の準備で,
本当に休日無く仕事.(Oh,このブログのタイトルに合わない生活だ!)

お昼に皆でピザにしてみたけど,3枚じゃどうも足らなかったようだ.
とりあえずお試しでピザ.そして注文してみたら,Hutの日は明日からだった...

うん,久しぶりに楽しかった,Thanks !!

ものづくりフェスっ!

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土曜日なのに6:30起きで大学へ.晩秋の朝の光は美しい.

で,何しに来たかってぇと,
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これっ↑すね,Sigmaの重要な活動の一つ,ものづくりフェスタ.
普段は数学ばかりやってるSigmaも,イベントでは”折りサー”になるのさ.

今回はユニット折り紙.ピースを組み合わせて様々な立体を作るんだ.
色々な年齢のお友達に対応してレベル分けされていた.
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中には,あらかじめ作ると大変だよ,って警告付きのものも.
(しかし,小さなお友達たちは気にせずトライしたとのこと.)
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開始直前の様子.
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やはり予想通り,午後のほうがたくさん入った様子.
小さなお友達がだくさん来たらしい.
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そして終了間際の様子.

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で,終了後の反省会その1.

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反省会その2.

ってわけで,お疲れ!上手くいったようで良かった!
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因みに,今回利用した折り紙資料は↓

はじめての多面体おりがみ (Heart Warming Life Series)

はじめての多面体おりがみ (Heart Warming Life Series)

Trick or Treat!

いよいよ尻に火がついてきたゼミ生の卒論ゼミ,
本日3人終えて部屋に戻ると掲示板にお菓子が.
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ああ,そういう日だよね.そういえば例年気合を入れてコスプレしている,
すごい恰好の二人を写真に収められなかったのが残念.
しまった,今年度で卒業ではないか.

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手前のサツマイモをかたどったクッキー,良くできてるなぁ.
あと,他は誰なんだろう?なんにしても,ありがとう!

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おっと,そういえば数日前にもパンプキンケーキもらった.これはゼミ生から.

で,実は夜に秘かに卒業生らとピザパーでごわした.
まぁ,ネット注文したつもりができてなくて30分余分に時間がかかったのだけどね.
待ち時間,腹減ったぜよ.
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職場では,のほほんとやっているらしい.
こうして遊びに来てくれるうちが花だね.

動機づけの内在化への新たな挑戦

プログラミングの講義はずっと担当してきたが,
それを学ぶ意義も有効性もどうも伝わらずに終わってきた.
(というのもその後の講義に活かされることもほとんどなく,
かつ卒論に使う学生もごく少数なので.)
この頃は「そんな講義あったっけ」という学生も現れてきた.
如何に彼らにとって異物感たっぷりに受け止められてきたかがよく分かる.

さて,そんな反省もあって,十年来の講義遺産を全て投げ捨て,
新たな道具を採用して一から講義を作り直している.
まぁそのおかげで土日はほぼその作業でつぶれる.
その道具とは科学教育者でもあるMITのMitchel Resnick*1の提案するScratchだ.

子供向けに開発され,ちょうど子供たちがブロックを積み上げて何かを作るが如く,
プログラムを組んでいけるようにしたフリーなプログラミング環境である.
もちろん以前から知っていたのだが,さすがに飛び道具感がたっぷりで,
つまり見かけが入りやすく,その分講義として「出落ち」になりかねないのでは,
(はじめはのめり込むかもしれないが,すぐに飽きるのでは?)
と敬遠してきたのだが,いよいよ背に腹はかえられないと今期から採用した.

いやいやどうして.何より自分自身がのめり込んでいる.
オモチャのようなことしかできないだろうと高をくくっていたが,
(実行画面のサイズが固定なことを除けば,)
十分なプログラミング環境を提供してくれる.
そして初心者にとって高い壁となるプログラム言語の「文法を憶える」という作業が,
ブロックをはめていくだけの作業に代わるため,
憶えるよりも先に視覚的に仕組みが把握でき,直感的に分かるようになるのだ.
つまりアルゴリズムそのものに初めっから直感的に触れられる.
「プログラムを作って」→「実行」ではなく,「実行したままでプログラムが組める」ので,
今自分がしていることがリアルタイムに反映され,さらに壁が低くなる.

とりあえず一クラス講義,やってみた.
目の前で自分の命令したとおりにキャラクターが動く.
あるいは意図したとおりに動かないと,「動かしたい」という強い内発的動機から,
学生は試行錯誤を始める.
そう,まさにこれがここ数年やらせてみたかった学生の知的運動なのだ.
もちろんこれで講義が上手くいきそうなどと騙されたりはしない.
いつこの「仮の」内発的動機付けから冷めてしまうか分からないからだ.
彼らにとって丁度いい,初めは外発的でもすぐに内在化できるワークを毎回準備せねば,
瞬く間に彼らの知的好奇心の灯は消えてしまうだろう.
それほどまでにこの頃の学生らの知的好奇心は脆弱なのだ.

さて,このScratch.どんなものが作れるかと,初回講義用にデモゲームを作ってみた↓

ゲーム"Cat & Mr.G" Ver. 2014/10/05 (By はしのすけ)

何やってるんだ,と思われるかもしれない.
実際,こちらが真剣に教材を作れば作るほど,遊んでいるようにしか見えない.
う~ん.それがこの道具の最大の欠点かもしれない.
実際,↓こんな感じだし.
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人を伸ばす力―内発と自律のすすめ

人を伸ばす力―内発と自律のすすめ

*1:そういえばTEDでもその素晴らしいアイディアを披露してくれた.