様々なジャンルで活躍する人々がプレゼンテーションを行うTEDのスローガン.
BSで毎週放映されているのだが,まさに「広めるに値するアイディア」を
20分のトークで披露してくれるものだ.
普段なかなか時間が無くて録り溜めておいたものをここ数日見ている.
主に子どもがプログラム作りを学ぶことを目的とした
「Scratch」なるプログラミング言語学習環境を開発した,
レズニック氏のトークが面白かったので紹介.
ミッチェル・レズニック 「子供達にプログラミングを教えよう」
トークの丁度11:15辺りからなのだが,子どもに「変数」を教えたら,
その子どもに大変感謝されたという話が始まる.
その子は大きな魚が餌を食べるゲームを作っていて,その出来に満足していたものの,
どうしても「得点」機能を追加したかった.
そこでまさにそのタイミングで「変数」という仕組みを彼に教えたら,とても喜んだ,という話.
実はその子はそれ以前に「変数」を学校で学んでいた.
だが,そのとき彼は必要性を感じていなかった.だから「変数」の存在を忘れていた.
しかし,「得点」機能を追加したいと思ったとき,まさに必要に迫られた.
そうやって現実的意味とモチベーションを持って学んだとき,
子どもは,いや人間はその意味と概念をより深く確実に学ぶのだ.
「ゲーム作り」自体は,すこし離れてみれば別に必要不可欠なことではない.
けれどこのように疑似的にせよ,当の本人が是非とも必要だから学びたい,
と感じているときにタイムリーに学ばせることぐらい,
本人にとって価値のあることはなかろう.
できるだけそういった個々人のタイミングを見抜いて「知」に誘導することこそが,
教育者の「案内人」としての役割じゃなかろうか.
録画を見て改めて,これまで自分が目論んできたことを振り返る.
そうなんだ.まさにこれを「数学を学んでもらう」に置き換えて,
学生を動かすことを試行錯誤してきたんだ.
それが疑似的であれ,「自己原因性」を持って個々の学生が学んでいくよう,
その仕組み/仕掛けを作ること.
また学生から「自己原因性」を奪う仕組み/方法と徹底的に闘うこと.
一人でも多くの学生が「数学」という思考の言語の有用性に気付いて欲しいわけだ.
その結果として彼らがやがて教壇に立ったとき,
一人でも多くの子どもたちにもその有用性が伝わるようになって欲しいわけなんだ.
数学ぐらい美しい言語はない.
そう思い返す年の暮れ.
↓飽きもせず今年最後も紹介するぜ↓
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