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数学と音楽と教育と遊び

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実習乙会

4年が副免実習から帰ってきたので,Sigmaで乙会.
とはいえ,自分は会議で遅れたので途中参加.
場所が露菴(バイキングの店)だったので助かった.

皆さん,すっかりデザートモードの中,
自分独りガッついてた.



ここ来たの二回目.
車が無いとアクセスが難しいけど
使い易くて良いね.


tabelog.com

で,しかるべき理由によってプレゼントゲット!
おや,ピラミンクスだね.また時間を吸われるものをありがとう!
早速,我が未来ガジェット研究所の研究員(要するにゼミ生)に解析させるよ.
→研究員:「できます」(即答)

ぷら~す,箱入りのワイン(赤)ゲェッッットゥ!!
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う~ん,フルボディーの2008年もの,ピノノワール.
とてもとても自分では普段買わないよ.

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早速,パスタと共においしくいただきました.
やはり香りが違うとともに,これぐらい熟成しているとフルボディーでもぐっとまろやか.
以外に色合いは濃い赤っていうわけでない.でも深みが全く違うね.
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二日に分けて,のつもりだったけど,一晩で飲んでしまったよ.
ありがとう!

BEAUNE 1er CRU LES TEURONS(ボーヌ プルミエ・クリュ レ・トゥロン) | ワイン通販エノテカ・オンライン ENOTECA online for all wine lovers

芸は身を滅ぼす?(2)

また作っちゃったから遊んでくれっていう記事.
前回の「芸は身を滅ぼす?」に続き,ついついはまり込んでしまった.tokidoki.hatenablog.jp

れいの「教科学」ではこのところ数回かけて,いわゆる数理パズル・ゲームを通して
その裏にある歴とした数理に触れてもらおうという企画で進めている.
もちろん流れとして当然出てくる複数山石取りゲーム,いわゆるニムゲームをScratchで作った.
これ何とか間に合わそうと直前の朝3時半まで作っていたもの.
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ここに埋め込んでおくね.

実際にその場で試行錯誤で対戦できるとあって,何人かが講義中にあれこれ試してくれた.
まぁ,作った甲斐があるというもの.

おっと,ついでにこれまでのScratch作品集はここに.scratch.mit.edu

このニムゲーム,数学者Boutonによる二進数のXOR演算を使った見事な解法があるのだが,
普通はこの見かけ上の石取りゲームとギャップがあると感じるだろう.
そこで何か中間的なゲームは考えられないかと模索して次のゲームを考えた.

【スイッチゲーム】
数ケタの二進数3つを用意する.この数字を交互に次のルールで書き直していく.
【ルール1】3つの二進数から一つ選ぶ.その数に含まれる幾つかの 1 を 0 に書き換えられる.
【ルール2】1 を 0 に書き換えたら,それより右にある桁は 1→0 や 0→1 に自由に書き換えて良い.
【勝敗】書き換えられなくなったほうが負け

このゲームは例えば次のように進行する.
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で,ここに出てくるニム和は以下の如く定めておくわけだ.
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これらをじっと見て,必勝法が見えてくるだろうか?
少なくとも実際に自分と対戦してみた学生は何度かやってみるうちに悟ったようで
必勝法を見つけていった.

さて今度は「2倍取りゲーム」でFibonacci列の華麗な世界へ突入しようと思う.
が,教科学もそろそろ息切れしてきた.ちょっと休みたい...


ところでこういった数理ゲーム,ゲーム理論でも有名なあのJohn Nashが
とても素敵なアイディアを沢山残していってくれている.
もっともNashは決してゲーム理論をライフワークにしていたわけではなく,
リーマン多様体の研究者であり,一方でリーマン予想にも深く足を踏み入れていった人だ.
でもなぁ,博士課程とその数年間のゲーム理論研究でノーベル経済学賞獲っちゃうわけで,
天才がやることってそういうことなんだよなぁ...

A Beautiful Mind: Genius and Schizophrenia in the Life of John Nash (English Edition)

A Beautiful Mind: Genius and Schizophrenia in the Life of John Nash (English Edition)

そしてつい先日,何ということでしょう,交通事故で亡くなってしまわれたのでした.matome.naver.jp

それでも正しいと思うからやり続けるだけなのさ

何がって,具体的に確率的現象を体験させるために
講義中にあれこれ実験してもらう作業のことさ.

今年は10年ぶりにがらりとやり方を変えた統計とコンピュータ,
記述統計が片付いてようやく推測統計学だ.
例年,大数の法則と中心極限定理を雰囲気だけでもつかんでもらおうと,
あれこれシミュレーションをやって見せるのだが,
全くと言っていいほど反応の無い,この講義中に最も無力感を味わう場面でもある.

さて,今年も性懲りもなく挑戦してみた.
ただ今回は大きく実験を取り入れてきたので,
大数の法則が容易に体験できそうな実験をと探し歩いてたら,
啓林館のページに中学生向けの授業実践に確率を扱ったものがあり,
それを利用させてもらった.www.shinko-keirin.co.jp
コインとペットボトルのキャップとピンをガラガラと振って,
それぞれが下の写真のようになる確率を予想して大きい順に並べよ,という題材だ.
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この実験の最も良いところは,結果がどうなるかちょっと分からない,
人によって意見が分かれるという点だ.


さて2人一組になって下記の容器を50回ずつ振ってもらう.
一人は記録係となりEXCELに裏表をチェックしていく.
その後,10回毎のデータをGoogle formにて全員から採集,
一方,彼らのEXCELシートには表の比率が時系列と共にグラフ化されて
次第にそれぞれがある確率に近づいていく様子が描かれるという仕組みだ.
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初めての試みでもあり,時間配分がどうなるのかさっぱりで始めたのだが,
無事実験が終わりデータも集まり,
そしてチェビシェフ不等式→大数の弱法則の証明まで90分の時間内に完了した.
10回毎に区切ったデータを送ってもらったのは他でもない,
その先にある中心極限定理をも現象として見せられるかもしれない,と期待したからだった.
もっとも一人50回,これがおよそ100人,わずか500個の標本平均値が集まるだけだから,
昨年度まで行っていた「ナンチャッテ世論調査」のように綺麗には正規分布は現れない.
(実際集めてみたが,いまいちだった...)

何にしてももらったデータをもとに相対度数を時系列表示すると以下のようになった.
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これによれば「コイン」>「ピン」>「キャップ」となる.
だが問題はここからだ.本当にそう断言して良いのか,ということだ.
50回程度では確率が逆転しそうなところもあり怪しいわけだが,
この先の雰囲気からすれば,もうひっくりかえることは「無さそう」だ.
でも「無さそう」であって,「無い」という保証はない.
そして,このあやふやさに「信頼度」という概念を従えて
ある程度の白黒を付けるのが中心極限定理というわけだ.
さっきのグラフに「平均±2σ」のラインを書き加えてみよう.
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中心極限定理が保証するのは標本平均が「平均±2σ」程度に収まるのが95%ということ,
だから各色の点線を超えて確率が逆転してしまうのは5%以下だ,と言っている.
上記グラフでは1300個の標本平均だと±3σでも余裕で確率が分離できている.
±3σは信頼度99%に相当する.
だから,この実験が間違った結論を導いている確率は1%以下だということだ.

しかし,先ほども書いたように集まるサンプル数が少ないため,
正規分布が見えるほどにならない.
というわけで,この先は連続な確率変数でのシミュレーションとして
過去数年,講義中に提示し続けてきたn本ダーツの重心の分布を見てもらうことにする.
といってもEXCELの計算量の関係から16本程度までしか実験していないのだが,
それでも次第に重心分布がボードの中心に収束していくとともに,
そのヒストグラムが一様分布から正規分布へと次第に形を変えていく様子が見えるはずだ.
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と,こんな具合に今年もこの概念を何とか分かってもらうべく,
色々と道具立てして準備してみているのだが,
真にもって残念なのは,こういった実験中,ひたすら寝ている学生がいること.
もちろんここは大学,学びたくない者を叩き起こすなどという
園児相手のような低レベルなことをするわけがない.
そんな彼らに言いたいのは,いつも言っていること.
(とはいっても,この頃は当ブログを見ている現役学生もごく少数なわけだが)
自分の学びすら大切にできない者が
他者を学びに導けるわけがない.

まぁいい.
それでも自分の活動は少なくともその目指すところは間違っていないと思うから,
この先も淡々と続けるだけだ.

おっと,忘れずいつものも貼っておこう.

人を伸ばす力―内発と自律のすすめ

人を伸ばす力―内発と自律のすすめ

沈み逝く世代,それとも新世界への準備?

今年はSigmaが日曜企画だったので日曜にちらりと現れた.
今年も数理パズルを交えた企画ものだ.
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はじめにトレジャーハンター養成所があり,ゲーム性を取り入れたあみだくじで訓練.
↓それにしてもいい味出してるぜ,Mくん.
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その後洞窟に入ってからの最初のお題.
9つの錘からひとつだけ軽い錘を天秤2回で見つけよ.
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それをクリアーしたら今度は数式で書かれた暗号を解く.
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そして最後に,チョコレートゲーム.
あ,このチョコレートは以前オープンキャンパスで使ったやつね.
その時のものとはルールが違うのだけど.うん,今度,教科学でも使おっと.
これってニムなのかなぁ...
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で,無事クリアーしたらお宝が.
先程のM君が連休をほぼ潰して作った折り紙作品らしい↓
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そうそう,その数日前,新歓でピザパをやったよ.
全員ってわけじゃないけど,こうしてみると随分な人数になったね↓
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それにしても,年々静かになっていく当大学の学祭.
赴任した当初の様子から比べると,
随分出店数も減っている感じだし,お客さんも減った印象だ.
年々「腕白な」学生が減っていると前々から感じている.
特に名大が後期入試を止めてから学生の入学者層が変わった.
何より顕著なのが,ほぼ月1ぐらいの頻度で自分の研究室で行われていた,
ピザパをはじめとする様々なイベントがこの頃さっぱりになったことだ.
まぁ,それを「顕著」というのかはさておき,
しかし学生の元気さとこのイベントの頻度は明らかに比例している.
そもそも学生が業後の大学に残っていることが珍しくなった.

聞くところによれば,学生間の人間関係が希薄化・矮小化・淡泊化してきたことは,
当大学だけでなく全国的な雰囲気のようだ.
考えてみれば平成生まれは元気だった日本を知らない世代,
現在のような「窮屈な」日本の雰囲気が彼らには普通なんだろう.
こうしてこの国は沈み逝くのだろうか.
それとも今はちょっとした休憩時間であって,
やがて新たな智慧が新しい世界を拓くのだろうか.

どちらにしても,育て続けなければ明日は無い.

基数システムで遊び倒す

ネイピアの骨ってのは古来知られた計算盤として
しばしば教育現場でも取り扱われるネタだろう.
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でも,Genaille-Lucasの計算盤は日本ではあまり有名ではないようだ.
自分も某講義の下準備のため調べていくうちに見つけた.
Genaille–Lucas rulers - Wikipedia, the free encyclopedia
で,やっぱり作ってしまった,Scratchで.
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↓複数桁自然数×一桁のシミュレーションをやってくれる.

おまけに,Genaille-Lucasには割り算バージョンもあるのだ.

さて,毎度こちらがあれこれネタを用意して見せてきた某教科学.
そろそろテレビのように見てる学生らにもパフォーマンスを出してもらいたい.
ということでこのGenaille-Lucas計算盤を彼らに設計してもらうことにした.

初めにネイピアの骨で計算棒というアイディアに触れてもらって
それを踏まえて一部のみ分かるようにしたGenaille-Lucas計算棒一覧を渡し,
これを完成してもらう作業を課した.
もちろん,使い方そのものも自分たちで考えてもらうことから始めた.
これまで散々筆算で掛け算をやってきただろうし,
おまけに直前にネイピアの骨で繰り上がりの仕組みを再確認したから,
さすがに皆仕組みまで自ら発見するだろうと思いきや,それがなかなか.
最後までこの仕組みを納得できないで
見た目の法則だけで完成させたものもちらほら.

学生らがいかに形式的にしか物事を見ないで過ごしているのか
それを改めて思い知った場面だった.