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Open Campus 2018

Open Campus 2018.
今年は外部の何かイベントと重なったため,例年より1週遅く開かれた.
昨年度まで好評のはずだった「学生による模擬授業」がなぜか閉鎖されたため,今年は講座の説明会で学生らに模擬授業をしてもらった.

午前中は例年通りの満席.300人で収まらない.
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で,ネタは何度か使っている3色カードのマジック.
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メインは昨年度もやってくれた3年だが,次年度以降に向けての経験を積むため,1年Sigmaメンバーには助言スタッフとして参加.
実験に付き合ってくれる生徒や,考えを発表する生徒など,積極的な反応.
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さて,20分ほどしてから解説.
なぜかパスカルの三角形が登場すると会場がどよめいたのだが,あれ,反応するところ,そこ?
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昼休憩ではもちろんピザを振る舞う.
しかしこうしてみると,Lサイズだったとはいえ,ちょっと少なかったかも.
雑談から~の,
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かんぱ~い.
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この3色カードマジック, \mod 3を通しての不変量と組み合わせ的考察の両方が関わっていて,マジックとしても数学としても丁度いいネタで折りに触れ学生らの前で披露してきた.
ついでにもう少しだけ突っ込めば,パスカルの三角形に潜在しているフラクタル性も現れてくる.
実際パスカルの三角形を \mod 3で色分けしてやると,最初のカード枚数がいくつだとマジックとして成立しやすいかが見える.
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ところでこのマジックのシミュレーション,Scratchで前に作った,って紹介したっけ?

追いかけてきたもの

今年の免許更新講習では「小学校にプログラミングが導入されること」に託けて,Scratch プログラミングを行うことにした.

プログラミング自体はもう15年以上担当している.
私が学生に求め続けてきた,あるべき学びの姿がこの講義に凝縮できる可能性があるからだ.
これまでも「内発的動機付けに基づいた学び」といった形で,当講義の様子を学生の作品紹介を通じて報告してきた.
tokidoki.hatenablog.jp
tokidoki.hatenablog.jp
tokidoki.hatenablog.jp
tokidoki.hatenablog.jp
tokidoki.hatenablog.jp

もちろん昨年度後期においても,更に進んだ作品が幾つも作られた.

課題2:シューティングゲームを作れ から

課題3:算数数学を素材とした教材やゲームを作れ から

最終課題:自由に作れ から
アルゴゲームなんだけど,壮大なオープニングから始まる.
しかもコンピュータもきちんと手を考えるようになっている.

初めてScratchでプログラミングというものに触れてわずか半年でここまで到達してしまった.

その一方で,半年かけて何度も何度も何度も繰り返し伝えても,全く歩留まりの悪かった講義を前回紹介したところだ.
tokidoki.hatenablog.jp

この違いは何だろうか.
やはり内発的動機付けが上手くできたかそうでなかったか,が勝敗を決めている.
Scratchプログラミングでは内発的動機が生まれやすく,統計とコンピュータではそれが全く生まれなかった,ということだ.
そして何より,これらを教える私自身の心的背景が事を決めている.
子供のころからプログラミングなんて見よう見まねで学んできたので(ネットなんて夢のまた夢のその当時はZ80系マシン語とN88-BASICだった),どのように学生らをプログラミングの世界へ導けば効果的なのかが良く分かる.
その一方,統計学はそれこそ教える羽目になってから学んだに近い.明らかに外発的動機付けだ.

Scratchの開発者,Resnick はまさに私が教育の場においてやりたいことを実現してしまっている.

そして,免許更新講習資料作りをしているうちに,Scratch HP に Resnick の教育コンセプトがバッチリ書いてあるのを見つけた.
それは私がずっと追いかけてきたもの,そのものだった.ここに引用する.

【原理】
若者に創造的に考え,体系的に考え,協力して作業する能力を与えるためにScratchを作り出しました.Scratchでは,新しいツールやテクノロジーを開発する際に皆さんが従うよう期待されており,学びの原理とデザインの原理(4つのP)が,我々を導いてくれます.


【学びの原理】
・ プロジェクト(Projects)
人はプロジェクトに積極的に取り組んでいる時にもっとも良く学びが得ることができます.— 新しいアイディアを生み出し,プロトタイプをデザインし,改良を施し,そして最終版の作品を創作します.

・パッション(Passion)
人は興味のあることに集中する時,より長く熱心に取り組み,課題に直面しても根気良く続け,その過程でより多くのことを学びます.

・ピア(Peers)
人々がアイデアを共有したり,プロジェクトで協力したり,お互いの仕事を積み重ねて学びは社会活動として栄えます.

・プレイ(Play)
学びには遊び心のある実験が含まれています.—それは, 新しいものを試すこと,教材をいじり回すこと,限界を試すこと,リスクを冒すこと,何度も繰り返すことです.

scratch.mit.edu

人を伸ばす力―内発と自律のすすめ

人を伸ばす力―内発と自律のすすめ

中心にギュッとなる定理

久しぶりのエントリーなんだけど,
「中心にギュッとなる定理」でお茶を噴き出す今日この頃.
いや,長年やってきた「統計とコンピュータ」,
何とも歩留まりの悪い授業だったと改めて再確認している最後のチェックテストの解答から.

問題は「中心極限定理って何か,そのへんのおばちゃんに説明せよ」というもので,
それに対する一番面白かった解答をタイトルにした.
もう,どこから突っ込んだらいいか迷うレベル.

さて,解答はGoogleFormで集めたのですぐに結果が見えるのだが,
トホホな結果になったので紹介.

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あれほど「なんでも標準化すれば正規分布に従うとか,www」
って注意してきたのに,これだ.

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「標準化して分散0とか言ったらグーパンね」って言うたじゃない!

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この辺も丸覚えなんだろうなぁ...
あ,でも相関係数が0でも独立でないような具体例は
演習問題として自分でやってもらうだけだったので,それがいけなかったか?

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そして極めつけ.
なんだよ,相関係数5とか.
オー・マイ・ガッ!

手を変え品を変えあれこれトライした15年だったけど,難しい授業だったなぁ.
tokidoki.hatenablog.jp
tokidoki.hatenablog.jp
tokidoki.hatenablog.jp
tokidoki.hatenablog.jp
tokidoki.hatenablog.jp
tokidoki.hatenablog.jp
tokidoki.hatenablog.jp
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memo-ここ暫くの office 2016 関連エラー

何だか5月に入ってwidows更新したら,オブジェクトに日本語入力するとすぐ↓のエラーが起こるようになってしまった.
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エラーの詳細情報は以下.

問題の署名:
問題イベント名: APPCRASH
アプリケーション名: EXCEL.EXE
アプリケーションのバージョン: 16.0.9226.2126
アプリケーションのタイムスタンプ: 5ae2586a
障害モジュールの名前: mso20win32client.dll
障害モジュールのバージョン: 0.0.0.0
障害モジュールのタイムスタンプ: 5ae1ccc8
例外コード: 0151d70f
例外オフセット: 0015fd68
OS バージョン: 6.1.7601.2.1.0.256.48
ロケール ID: 1041

で,再インストールしたり,更新プログラムを試したりしたが変わらず.
しかしやっと同じように困っている人を発見.
Excel 2016 の強制終了について - マイクロソフト コミュニティ
どうやらOffice 2016でGoogle 日本語入力を使うと起こるエラーのようで,Office IMEに戻したらエラーが無くなった.

狭いよ,こころ狭いよ,Microsoft!

Benford則を見てみた

今年も講義「統計とコンピュータ」がはじまった.
それが一般の学生なら興味を持つ話題であっても数学の学生はデータを眺めることが嫌いだ,というこの十数年の経験が気持ちを曇らせるのだけど,また新たなネタ作りを試みている.
今年はBenford則をやってみよう.というより統計教育でよく取り扱われる標準ネタであるものを今までやっていなかったことに気付いた.
ベンフォードの法則 - Wikipedia

下準備で比較的大きな桁数まで現れそうな株式市場からのデータに適用してみた.
2018年3月30日の東証一部上場企業4019社の「始値」と「出来高」それぞれの最高桁の数字の分布を眺める.
始値については「株価」としての適正な価格範囲が共通認識としてあるために理論的になるはずの分布からややずれる一方で,出来高については発行株式数が巨大な企業もあるために,Benford則が綺麗に表れている.
おお,ネタにするには良い感じだ.
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一方,数学の学生が興味を持ちそうな,与えられた数のべき乗の先頭の数字についてもやってみた.
(1.1)^n から (1.5)^nn=1 から 1000 まで行って各々先頭の数字を拾った.
こちらは更に見事にBenford則に当てはまっている.
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結局のところ,これらの現象は確率変数  X\log_{10}X の小数部分が [0,1) で一様分布することが元になっているのであって,何か珍しいことが起こっているわけではないのだけど,見た目にはへ~っとなりやすい.

そもそも数  X の最高桁の数が  m だということは適当な自然数 e によって
\begin{equation}
m\cdot 10^e\le X < (m+1)\cdot 10^e
\end{equation}と書けるということであり,
\begin{equation}
e+\log_{10}m \le \log_{10}X < e+\log_{10}(m+1)
\end{equation}となるから,つまり \log_{10}X の小数部分を眺めているに他ならない.そして
\begin{equation}
\sum_{m=1}^9\left(\log_{10}(m+1)-\log_{10}m\right)=1
\end{equation}となるものだから,ちょうど  \log_{10}(m+1)-\log_{10}m が数字  m の現れる確率となる.

特に数  \alpha\ (\log_{10}\alpha\not\in \mathbb{Q}) のべき乗ならば, n\log_{10}\alpha [0,1) に一様分布するという良く知られたWeylの定理があることから,殊更Benford則がはっきり表れることになる.

さて,このネタ,反応あるかなぁ...